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ラプラスの書§3-3

トレミーな一日その2。
今回はギャグパートです。


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「贖罪のカルネアデス」
【3】(トレミーな一日 B)

 爽やかな夏の朝。
 眩い太陽光線に照らされて、水田は緑の絨毯を敷き詰めたように青々と繁り、脇を流れる用水の水面がキラキラと輝いている。
 新しい一日の始まりを予感させるそんな素晴らしい景色も今の俺の気分を高揚させるには至らなかった。
 俺は今、訳あってトレミーになっている。
 そして、そのまま学校に向かっている。
 この逃れようのない現実を目の前にして、何とか平穏無事に一日が終わるように思考を巡らすが、どう考えても無事に乗り越えられるイメージが湧かない。
 考えれば考えるほど深みにはまっていく思考をぐるぐると巡らせながら、俺は黙々と通学路を進む。
 すっかり見慣れたはずの通学路も視点が10センチほど低いので、どうしても違和感を拭いきれない。
 更に歩く度にぴょこぴょこと揺れるポニーテールが気恥ずかしさを助長させている。
 そして、なによりスースーして心許ない足元。
 今、俺が着ているのは正真正銘、紛れもないセーラー服なのだ。
 端から見ればどこからどう見てもカンペキな『女子中学生』のはずなのだが、いかんせん意識してしまって人とすれ違うときなどは妙に緊張してしまう。
「オレ、一度『学校』ってのに行ってみたかったんだよな~」
 そんな俺の心の中の葛藤なんて知る由もなく、俺の横を歩くアルキメデスが呑気にそんなことを言う。
 俺がトレミーな今、アルキメデスは俺の姿に化けて今日一日俺の代わりに授業を受けることになっている。
「なっ、今日は学校で何やるんだ?」
「勉強だよ、お勉強」
「勉強?」
「今日は、朝から国語、社会。給食を挟んで数学、理科、さらに疲れ切ったところで体育という過酷なスケジュールだ」
「人間のことはよく分からんけど、なんか面白そうだな」
 これから学校でなにが待ち受けているか考えるだけで頭を抱えてしまいそうな俺とは裏腹にアルキメデスは好奇心で目をキラキラと輝かせている。
 コイツ、絶対『勉強』の意味がわかってないな。
「そんなに興味があったのか」
「まあな、俺たちからすれば人間ってのは本当におかしな動物なんだよ。こうやって人間の言葉が分かるようになっても、まだまだ分からないことが盛りだくさんだし」
「ふーん、そうゆうものなのか」
 よくよく考えれば、霊力を得て人の言葉を理解出来るようになり、人の姿に化けることが出来るようになったからといって、すぐに人間社会に溶け込むことが出来るという訳ではない。
 アルキメデスにとっては今回はその人間社会を垣間見るまたとないチャンスなのだ。
 そんなに興味があるのなら、俺の代わりにこいつを学校に行かせてサボるというのも手だな。今回上手くいったら活用しよう。
「まあ、楽しんでこいよ。ただし、俺の印象を悪くするようなことはするなよ」
「分かってるって」
 ニヒヒ、とイタズラっぽく笑うアルキメデス。
「俺はそんな笑い方しないだろ」
「そうか?いつもいやらしい顔ばっかしてると思うけどな」
「してない」
 少しでもアルキメデスに期待した事を後悔しつつ、やはり前途多難だと軽く溜息を吐けば、いつもの数倍に長く感じられた通学路が終わり、普段より少し大きく感じられる校門が見えてきた。

「「「おはようございます!」」」
 いつものように校門をくぐると、野太い男の声が何十と重なった挨拶が響き渡る。
 うわ、忘れてた・・・
 俺の前にはズラリと一直線に立ち並ぶ学ランの男子生徒の列がある。
 一蹴会。この集団はトレミーによる言葉の一蹴である種の特殊な感情に目覚めてしまった生徒により結成された組織である。
 普段のトレミーならば「クズ」「カス」「ゴミ」「チリ」「アクタ」「デブリ」・・・と一人一人を一蹴しつつ何事もないかのようにこの集団の脇をすり抜けていくのだが、人に暴言を放つことに慣れていない俺はいきなり現れた怪しい集団を目の前にしてどうすることも出来ずただ立ち尽くしてしまう。
「そんな、御言葉がいただけないなんて・・・!」
「まさかトレミー様が我々に興味を無くしたのでは・・・」
 そのまま沈黙が周囲にたちこめ、普段と違う雰囲気に集団がざわざわと狼狽えだす。
「会長。お気づきにならないのですか?」
 そのざわめく集団の一角から爽やかな声が上がる。
 一瞬にして集団の注目の集まったそこには我がクラスが誇るイケメン男子、香村慎哉の姿があった。
 最近、朝は見ないと思ったら、こんな所にいたのか・・・
「おお、同志香村。何に気づいたと言うんだ?」
「恐らく、今日は『デレの日』なのですよ!」
「「「・・・!」」」
 びしっと言い放った香村の言葉に一蹴会の連中の間に震撼が走る。
「そうか、デレの日か!」
 集団の中でも一段と体躯が良く、いかにも学ランがよく似合う会長とおぼしき男子生徒が驚嘆の声を上げる。
「嗚呼、思えば初めてトレミー様に「クズ」と罵りを受けてから今日まで幾星霜。辛く甘美なお言葉に耐えてきた報いがようやく訪れたと言うことか!」
「そうです。『デレ』あってこその『ツン』なのです。いつか甘い言葉があると期待させておいて激しく罵る。これこそ最高の焦らしではないですか!」
「うむ、そうだな」
「そうに違いない!」
「さすがは同志香村!」
 その感動は瞬く間に集団全体に広がり、盛大な万歳三唱の後で改めてトレミーである俺に集団の意識が一途に向けられる。
「ありあがたや、ありがたや~」
 平身低頭、土下座して頬を地面に擦り付ける集団に取り囲まれて、俺は背筋にゾッとする物を感じ、逃げるようにその場を立ち去るのだった。
 っていうか、生活指導の先生仕事しろ!

 朝イチから最悪な出来事が重なり、ようやく教室にたどり着いた俺は着席するやいなや早速机に突っ伏す。
 しかしまだ一日は始まったばかりなのだ。これからまだあと何時間もあると思うと気が重い。
「ちょっと、なにしてるのよ」
 そんな最悪な気分をさらに害するように、ピンと険の張った声が俺の背中へと掛けられた。
 この聞き覚えのある声は・・・やはりはるかだった。
 しかも、凄く機嫌が悪い。
「そこはゆーくんの席でしょ?」
 あっ、しまった。ついつい習慣でそのまま自分の席に座ってしまったのだった。
 しかし、時既に遅し。はるかの天敵であるトレミーな今の俺が何を言っても弁解の余地はないだろう。
「・・・」
 返答するタイミングを逃し、押し黙った俺とはるかの間にイヤな沈黙が訪れ、徐々に周囲の空気が張り詰めていくような気がする。
「どうしたんだ?」
「あっ、ゆーくん」
 よし、ナイスタイミング。俺の姿をしたアルキメデスがようやく教室に来たようだった。
「ほら、この子が勝手に席を不法占拠してたのよ」
 これみよがしに俺の方を指さして、不平をアルキメデスにぶちまけるはるか。
「そうカッカすることでもないんじゃない?」
「もう。そうやって甘い事言ってると、あっという間に実効支配されちゃうんだから!」
「まあ、そう熱くならないで。強く凛々しいキミもステキだけど、やはりボクは優しく微笑んでいるキミのほうが好きだな」
「「なっ!」」
 アルキメデスの野郎、何言ってやがるんだ。
 そのままアルキメデスが上手くはるかを丸め込むことを期待していた俺は全く予期せぬ台詞に思わず声をあげてしまい、同じく予想外の台詞だったのだろうはるかがあげた声と重なる。
「ゆーくん、朝から何言ってるの?バカなの?そ、そんな冗談で誤魔化そうったってそうはいかないんだからっ!」
 よほど驚いたのだろう、そう一気に早口でまくし立てるはるかだったが、みるみるうちにその顔が紅潮していき、もう耳の先まで真っ赤になっている。
「嘘じゃないさ、さあ、もうすぐ朝のHRに先生がやってくる。キミの小鳥がさえずるような美しい号令をボクに聞かせておくれ」
 聞いてるこっちが歯が浮いて自殺したくなるようなスウィートなセリフを恥ずかし気もなくはるかの耳元でささやいたアルキメデスは、トドメと言わんばかりにニコリと爽やかな笑顔で締めくくる。
 ちょ、俺の顔で流し目とかするな、気持ち悪いわ!
「やだぁ、もう。ゆーくんったら・・・」
 はるかはそのまま怒り心頭になるかと思いきや、なんともまんざらでもない様子で、アルキメデスに言われるまま、半ば放心状態でふわふわと自分の席に戻っていく。
「まあ、オレにまかせとけって」
 その様子を満足そうに見送ったアルキメデスがこれ見よがしに俺にそう言ってくる。
 アルキメデスの笑顔が自信に満ちているほど、俺の不安は増すばかりだった。

 HRの際にはるかが発したそのあまりに甘く可愛らしい号令に先生とクラス一同が一瞬怪訝な顔をした以外は、至ってつつがなく授業は進行し、あっという間に昼の休憩時間を迎えた。
 俺の姿をしたアルキメデスは水を得た魚のように休み時間事に女子に声を掛けまくり、なぜかそれに触発された加路を始めとする軟派系の男子達が負けるものかと張り合って、いつもは穏やかな教室は休憩時間の度にさながら日曜の繁華街の駅前のように賑やかな物となった。
 その中でもアルキメデスのナンパっぷりは群を抜いていて、既に女子達の間では俺の良くない噂が流れ始めているらしい。
 せっかく俺が今日まで作り上げてきた硬派なイメージが崩れ去ってく音が聞こえるかのようだった。
 勿論、俺だってそれを放置するわけもなく女子に声を掛ける度に再三意識を送っているのだが、そんなのどこ吹く風で、逆に段々とエスカレートしているほどだった。
 給食を終えた後の昼の休憩時間も俺の何度目かの通告を普通にスルーして、教室の隅のほうで雑談している二人組の女子にアタックをかけていった。
「へぇ、そうなんだ~」
「なんか、今日の田中君っておもしろいね」
「そうそう、なんかもっとネクラなイメージがあったから」
「ボクは生まれ変わったのさ、君たちに会うためにね」
「やだー、田中君たら~」
 なんか本物の俺より女子のウケがいいし。複雑な気分だ。
「どうだい、今度いっしょにツメでも磨きに行かない?いい木知ってるんだ」
「ツメを磨くって、ネイルサロンのこと?」
「田中君って意外とオシャレなんだね~」
 女子達は好意的に解釈してくれたようだが、アルキメデスはネイルサロンなんて行ったことはおろか知りもしないだろう。
 いくら人間に化けていると言っても中身はアルキメデスのまま。
 結局はネコの価値観なのだ。
 そんな風にアルキメデスを眺めていると、不意に教室の一角から負のオーラが立ちこめているのに気づく。
 発生源を辿っていった先、教室の端にある掃除用具入れの影に潜んでいるのは・・・はるかだった。
 今にも「ぐぬぬ・・」という声が聞こえてきそうな表情ではるかは女子と話すアルキメデスのほうを物陰から伺っている。
「ね、いいでしょ?明日とかどう?」
「ヤダ~明日も学校じゃないのよ」
「冗談ばっかり言って、本当は誘う気なんてないんでしょ~?」
「違うよ~じゃあ明後日は?」
 負のオーラが自分に向けられているなんて知る由もないアルキメデスに女子との会話を止める気配はない。
 その間にもはるかが放つ負のオーラは一段とドス黒さを増している。
 これは後で何を言われるか分かったものではない。
 まったく、なんで俺かこんなにハラハラしなきゃならんのだ。
 とにかくアルキメデスを止めなければ。後で実害を被るのは俺なのだ。
(アルキメデス、そのくらいにして席に戻るんだ)
 俺はアルキメデスに向かって意識を飛ばす。
 使い魔の契約を結んでいる俺とアルキメデスはエーテルを介した意識の疎通、いわゆる『テレパシー』を使うことが出来るのだ。
(なんだよ、今いいところなんだからジャマするなよ)
 明らかに面倒そうなアルキメデスの意識が返ってくる。
(お前の為に言ってるんだ。いいから早く戻ってこい)
(へっ、オレが女子と話してるのがうらやましいんだろ?嫉妬はみっともないぜ、ご主人サマ)
(あっ、おい!アルキメデス!)
 その後も何度か呼びかけてみるがアルキメデスは全く気にする素振りを見せず、一段と女子との会話に花を咲かせている。
「あのヤロウ・・・」
 まさに馬の耳に念仏・・・いや、コイツの場合は『猫の耳に念仏』か。そんなことはどうでもいいが、とにかく使い魔の躾は飼い主の責任である。
 口で言っても分からないなら、実力行使あるのみだ。
 一応アルキメデスの死角を突き、気配を殺すようにしてゆっくりと近づいていくが、それ以前にアルキメデスは女子達の会話に夢中なようで、こちらに気づく気配は全くない。
 そして段々と距離を詰めていき、ついには射程内にアルキメデスを捕らえる。
「ユークリッドっ」
 ぴょん、とアルキメデスの足の上に着地。
「痛ぇっ!何するんだ!」
 エクトプラズムにも痛覚はあるらしく、アルキメデスが盛大に声を張り上げる。
「蚊が止まってたんだ。フフフフ」
 俺は満面の笑みを浮かべつつ、憤怒の感情をアルキメデスにぶつける。
(てめぇ、いい加減にしろよ?)
(そこまですることないだろ。そんなに怒んなって)
 俺の怒気もどこ吹く風でアルキメデスは俺の横を通り過ぎていく。
 その背中をジロリと睨み付けながらその行く先を見届けていると、ピタリとアルキメデスの動きが止まる。
 怪しく光るアルキメデスの視線の先には先ほどの女子が二人仲良く雑談の真っ最中だった。
 お互い少し距離を置いて教室の窓際にもたれたまま、まったりと会話を楽しんでいるようだった。
 そのスカートの裾が風でふわりと揺れる。
 アイツ、やる気だ・・・!
 永遠のエロ男子のシンボルである『スカートめくり』を!
 だが、俺の姿でそんなことをされた日には俺の学校生活は間違いなく終わりを告げるだろう。
 晴れて「変態エロ大魔王」の称号を得た俺は「キャー、変態田中よ!触られたら妊娠しちゃうわ、逃げるのよ!」とか言われて学校中の女子から避けられ、軽蔑されることは間違いない。
 そんなことは絶対に――
「させないっ!」
 俺の意志に反応したトレミーの体は一気に加速し、手を妖しく下段に構え、今正に駆け出さんとしているアルキメデスの真後ろに跳躍する。
 さすが戦闘人形の身体能力は高く、エーテルを流入させなくても優に並の人間以上の跳躍力を持っており、あっという間に10メートル近くの距離がゼロになる。
 ふわっとした浮遊感の中で真下にある俺の姿をしたアルキメデスに跳躍の運動エネルギーのすべてをつぎ込んだ延髄蹴りを叩き込む。
「ふべらっ!?」
 アルキメデスは意味不明な悲鳴を上げつつ、そのまま吹き飛ばされ、先にあった机を何個か巻き込みながら壁に激突ずる。

kal33a.jpg


「ふっ、成敗」
 スタッと床に着地し、机の間に埋もれる自分の姿を見据えて俺はそう呟く。
 まあ、大丈夫だろ。猫又だし。
「あっ、ゆーくんになんてことするのよ!」
 つい先程まで怨々と俺を眺めていたのもどこ吹く風で、はるかは慌てて俺の姿をしたアルキメデスの方に駆け寄っていく。
「しっかりして、ゆーくん!」
「はるか・・・俺はもうダメだ」
 はるかに体を揺すられ、俺の姿をしたアルキメデスは弱々しく目を開ける。
 その焦点は定まっておらず、空をさまようように虚ろだった。
「だめっ!」
 アルキメデスが弱々しく挙げた右手をはるかがしっかと掴む。
 そのまま、見つめ合う二人。
 いつの間にかそこだけまるで映画のワンシーンのような二人だけの世界が構築されていた。
「・・・んっ!」
 突然、はるかが顔を真っ赤にして背筋を伸ばす。
 よく見れば、さすさすとアルキメデスの左手がはるかの死角からそのおしりを撫でていたのだった。
 あのバカ・・・
「キャーッ!ゆーくんのエッチ!」
 ドガッ!というものすごい音がして、アルキメデスの眉間にはるかの鉄拳が突き刺さる。
 あーあ。だから言わんこっちゃ無い。
 はるかは貞操の危機には敏感で、迂闊に防衛本能に触れるようなことをすれば、容赦ない反撃をくらうのは必至なのだ。
 はるかはぷんすか怒ってさっさと教室を去っていき、取り残されたアルキメデスはぐったりとしたまま動かず、時折思い出したようにピクピクと手足を痙攣せている。
 自分の悲惨な姿をそれ以上直視するのに耐えきれなくなって、ふと視線を床に移せばヒビの入ったリノリウムがその一撃の威力を静かに物語っていた。
 ま、まあ大丈夫だろ。猫又だし。
 ・・・たぶん。
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