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ラプラスの書§2-6

ご無沙汰しております。
やっとこさ続きが書けました。相変わらず筆が遅くて申し訳ないです。

久しぶりのTSシーンですよ!
しかも、今までの反省から無理矢理増量した感じです。
18禁にするほどではないと思いますが、ちょっとHっぽいシーンが多いのでご注意ください。

それはそうと、めっきり寒くなってきましたね~
もう12月となれば、それも当然ですよね。あまり寒くならないと良いんですが。

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「深淵のプトレマイオス」

   【6】
 給食の終わった昼休み、ワイワイとしていた教室が次の水泳の授業のために早めの移動を開始し、ぽつぽつと人が減っていく。
 そんな、いつもの昼休みの教室の中、はるかは席に着いたまま瞑想をするように沈黙を保っていた。
 が、やがて目をカッと見開き、意を決したように椅子から立ち上がる。
 その傍らには水着が入っているのだろうポーチを携え、ゆっくりとあげた視線には鋭い眼光が宿っている。
 今はただ前に進むのみ。そう言わんばかりの真剣な表情だった。
 次の体育の授業こそ決戦の舞台。トレミーとの決着を付ける大一番なのだ。
 そのまるで死地に赴く侍のような雰囲気にちょっと近づき難い気もしたが、何事も最初が肝心。ここでミスってしまっては、せっかくの作戦が台無しになってしまう。
 俺はなるべく平静を装ってはるかに近づき、声を掛ける。
「おい、はるか」
「・・・なに?」
 振り返ったはるかの視線はキッとは固く、顔は明らかに強張っていた。
 こんなんじゃ、もし泳げたとしてもガチガチで沈んでしまうんじゃないだろうか。
「ちょっといいか?」
 そのまま俺ははるかを教室から連れ出して、廊下の突き当たりの所まで来る。この先は何もなく、当然人通りも少ない。教室の喧噪が遠く微かに聞こえるだけだった。
「なんなの?いきなり・・・」
「いいから、目を瞑って」
 少しの間訝しげにこちらを見ていたはるかだったが、やがてあきらめた様にゆっくりと目を閉じる。
 俺はポケットから小さな瓶を取り出し、蓋を開ける。
 パカ、と密封された蓋が開くと、閉じ込められていた香りがふわっと空気中に広がる。
「ん?いい匂い」
「そのまま、じっとしてろよ」
 俺はそのオイルを指先に少し付けて、はるかの額に素早く紋章を描く。
「よし、もういいぞ」
「ゆーくん、何したの?」
「なに、ちょっとしたおまじないだ。どうだ、気分が落ち着いただろ?」
 やはり、いきなり触れられたことに気を悪くしたのだろう、少々キツイ視線を浴びせるはるかに少したじろぎながらも、なんとか慌てる素振りを隠してそう答える。
「あ、ありがと」
 ちょっと照れくさそうに視線を外してはるかはそう言った。
 もちろん、本当はただのおまじないなんかじゃないんだが。
 まあ、今回のオイルはラベンダーなどのハーブも調合してあるから気分を落ち着かせる効果があるし、実際ガチガチだったさっきまでに比べれば幾分か肩の力が抜けたように見えるのは事実だから、あながち嘘ではないよな。
「あーっ!ズルい!委員長にだけなにかおまじないなんて!」
 突然、後方から弾けるような声がしたかと思うと、あっというまにトレミーがすぐそばまで駆け寄ってくる。
「なによ、別にいいじゃない」
「良くない!ふこーへーよ!」
 澄ました顔でそう言うはるかにトレミーがすかさず不満の声を上げる。
 まあ、こうなろう事は予想済み。むしろ、こちらからトレミーを探す手間が省けたってものだ。
「あー、はいはい。ちゃんとトレミーにも用意してあるから」
「本当?」
 まさか俺が自分の分まで用意しているとは思っていなかったのだろう、トレミーは少し疑うようにこちらを見上げてくる。
「本当だとも」
 俺は少し得意げにそう言って、ポケットからおもむろに腕飾りを取り出す。
「ほら、嘘じゃないだろ?」
「わぁっ。ありがとう!ユーグリッド」
 その腕輪を受け取とったトレミーの顔がぱっと明るくなり、さっそく腕にはめててうっとりと眺めている。
「でも、何なのこれ?数珠?」
 確かにトレミーの言う通り、ぱっと見はオシャレな数珠だ。
 でもちゃんと水泳で使うことを考慮して中の糸はゴムバンドに替えてあるし、珠もちゃんとした水晶になっている。我ながら昨日の夜に突貫で作ったとは思えないほどの出来映えだ。
「よくぞ聞いてくれた。これはだな、腕に着けることでこの水晶が手首のツボを刺激してだな―――」
「うんうん」
「これをつけていれば家内安全、商売繁盛。テストの平均点だって上がっちゃう!」
「すっご~い!本当にもらっちゃっていいの?」
「ああ、もちろんだとも」
「わーい、やったぁ!ユークリッドの太っ腹ぁ」
 トレミーは俺のデタラメな説明を信じ切っているようで、その爛々と輝く瞳に少々心が痛むが、これも公平な勝負のためだ。
「さ、これでおあいこだろ?」
 これでトレミーにも不満はないはず。万事つつがなく事は進むはずだ。我ながら完璧。
「残念ねぇ、委員長さん。ま、これが無くても楽勝なんだけどね~」
 トレミーは余裕の笑みを浮かべ、はるかに見せつけるように目の前に持ってくる。
 それを見るはるかの視線は明らかに羨望の眼差しというヤツで、それがどんどんと歯がみするような表情に変わっていく。
「そ、そんなお守りなんて大したこと無いわよ!ほーら、見るからに安っぽいじゃない。私なんてゆーくんが直接触っておまじないしてくれたんだから。こっちの方が効果あるもん!」
 はるかはそう言ってすかさずバッと前髪を掻き上げ、紋章を描いた額をこれでもかと言わんばかりに見せつけ、ふふん、と得意げにトレミーを見下ろす。
「キーっ!そんなのインチキに決まってるじゃないの!それだっておまじないとか何とか言って、ホントは「バカ」とか書かれたんじゃないの?」
 はるかがキッとこちらを睨む。
「書いてない、書いてない!」
 俺は慌てて首を振って否定する。
 っていうか、二人とも全然アテにしてないんじゃないか・・・俺はちょっと悲しいぞ。
「あーっ、もう。どうしておまえらはそうなんだよ。二人とも1個づつ、平等でいいだろ?」
「「よくないっ!」」
 つい先ほどまで真っ向から対立していた二人がぴったりのタイミングでこちらを睨んでくる。なんでこっちに向かうベクトルは全く同じなんだよ。
「いいも~ん。次の体育の授業が終わる頃にはユークリッドはわたしのモノなんだから!」
「勝手に決めないでよ!ゆーくんはわた・・・クラスみんなのモノなんだから!」
 あの、俺は俺のモノだと思います。
「「ふんっ」」
 これまた完全に息のぴったりの合ったそっぽを向き、憤然と去っていく二人を呆然と見送って、俺は一人廊下の角に取り残される。
「ちょっと、着いてこないでよ」
「そっちこそ私の前を歩かないでよ。っていうか、お互いにプールに行くんだから仕方ないじゃない」
「わたしは着いてこられたくないのっ!」
「・・・いーわ、分かったわ。私はこっちから渡り廊下を通っていくから。絶対着いてこないでよ?」
「ふーんだ、誰が着いて行くもんですか!」
 去り際にそんなベタな会話が聞こえてくる。
「俺もそろそろ準備しないとな・・・」
 溜息をひとつ吐いて、俺も教室を後にするのだった。

「本当にやるのか?」
 いよいよ作戦本番という所になって、アルキメデスは確認するようにそう聞いてきた。
「なんだよ今更。ここまで来たらやるしかないだろ」
 俺は準備の手を緩めることなくそう答えるが、アルキメデスは更にしつこく聞いてくる。
「なんだかんだいって、あの娘の事、好きなんだろ?」
「ちげーよ」
 その藪から棒な質問に、俺は思わず手を止め、アルキメデスに向き直る。
「このまま放っておくわけにもいかないってだけだ。はるかが勝ったならならまだしも、あの暴走爆弾娘が勝ったら、ウチのクラスがどうなるか考えてみろよ?」
「なーにムキになってんだよ。この前クラスのことなんてどうでもいいって言ってなかったか?」
 ちっ、ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべてやがって。
「・・・降りかかる火の粉はどうにかしないといけないだろ」
 明らかな矛盾を指摘されつつも俺は認めるのがなんだか悔しくなってしまって、あからさまな言い訳を口にしていた。
「ま、ご主人サマの命令とあらば、なんでもするがね」
 気を利かせたつもりなのか、アルキメデスはそれで質問をやめ、分かったような表情を浮かべる。
 ここは旧校舎の一角、階段下の小さな倉庫。
 インプの一件の後、霊力の流れを調べていたときに見つけた場所で、今は全くといっていいほど使われていない。旧校舎自体ほとんど使われていないし、この階段下のスペースは旧校舎の影になっていて昼間でも薄暗く、気味が悪いので誰も近づこうとしない。それをいいことに学校での拠点として勝手に使わせてもらっているのだった。
 気味が悪いと言っても、一旦中に入れば天窓から日光が入るので意外に明るく、少し埃っぽいのを我慢すればなかなかに過ごしやすい場所なので、俺とアルキメデスは結構気に入っていた。
 俺は内側から倉庫のドアに鍵を掛けて、作戦の内容をざっと頭の中で確認する。
 これで準備は整った。
「よし、始めるか」
 アルキメデスの瞳に準備が万端であることを確認し、俺は行動を開始する。
 俺はいかにも古そうな、なぜ今まで捨てられずにとってあるのかが不思議なくらいボロボロなソファの上に横になり、家から持ってきた〈死者のオイル〉で額と胸に紋章を描く。
 目を閉じて、意識を集中し、言霊を紡ぐ。
「気高き魂よ。
 肉体に繋がれし鎖を解き、
 闇に溶け、自由を得ん。
 我は開く、魂の扉!」
(おお、幽体離脱するとこは初めて見たぜ。本当に出来るヤツがいるんだな)
 気がつけばソファに横たわる俺の隣で驚いたように俺を見上げるアルキメデスの姿が見えた。幽体離脱成功だ。
(よし、作戦開始だ。うまくやれよ?)
(まかせとけって、ご主人サマ)
 アルキメデスは得意げにそう言うと、ひょいひょいっ、と身軽な動きで天窓から外に出る。
 こうすれば内側から鍵を掛けたあの物置は外から人が入ることが出来なくなり、抜け殻となった俺の体を他の生徒に発見されることは無くなる。
 幽体となった俺はそのままいくつか壁をすり抜けて最短距離で校舎裏へと出る。
 そこへ少し遅れてアルキメデスがやってくる。
(どうだ、大丈夫か?)
 一応、キョロキョロと周囲を確認しながらアルキメデスが俺を見上げるようにする。
 俺はそのまま高度を少し上げて、ぐるっと周囲を見渡す。
 昼休みも半分ぐらいを過ぎ、束の間の自由時間を思い思いに過ごす生徒たちだったが、とりあえずこの校舎裏にくるような生徒は居ないようだ。
(ああ、周りに人は居ないみたいだ)
(それじゃ・・・)
 アルキメデスが軽く頷いて、怪しく目が光ったかと思うと、淡く光る二本目の尻尾が現れ、そこから発生したエクトプラズムが体を包み込んでいく。
 それはぐねぐねと形を変えながらどんどんと大きさを増し、ついには俺の身長と同じになる。
「へっ、どうだ。上手いもんだろ?」
 光りが収まったその姿は鏡や写真で見る俺の姿そのままだった。
 いくら自分だといえ、いや、むしろ自分自身が目の前にいるというのは気持ちの良いものではない。ましてや、それが全裸なら尚更だ。
(分かったから、さっさと服を着ろ。誰かに見られて変態扱いされるのは俺なんだから)
(まったく、人間ってのは面倒だなぁ)
 そう言いつつアルキメデスはあらかじめ隠しておいた制服を取り出し、慣れない手つきでそれを着ていく。
(プールの場所は分かるな?あとは説明したとおりだ)
(おう。そっちも上手くやれよ?)
(わかってるさ)

 さて、次はこっちの番だ。
 俺はアルキメデスと別れて、はるかを探す。
 プールへと向かう渡り廊下の途中にはるかの姿を見つける。
 俺はそうっとはるかの背後からゆっくりと近づいていく。
 意識を集中し、先ほどはるかの額に書いた紋章を呼び起こすように念じる。
 今回調合した〈安息〉のオイルはその名の通り強力なリラックス効果がある。そして、それを媒介にして魔術を意識に作用させることで一時的に意識を眠らせることが出来るのだ。
 さすが宮司の血族だけあって、はるかは霊力が高い。普通に意識がある状態では俺の霊力では意識を押さえ込むことが出来ない可能性が高く、最悪の場合憑依自体が出来ない恐れがある。そのために一度意識を失わせる必要があったのだ。
 しかも催眠状態に陥って、意識完全に失われる訳でなく丁度夢を見ているような感じになるらしい。だから、一応自分の行動として記憶が残り、『自分で納得できないことでもなぜかしてしまった』という感じになる。
 そんな都合の良い魔術があるなら、はるかを泳ぐように出来るくらいワケ無いと思うのだが、〈ラプラスの書〉に載っている魔術だけではどうにも痒い所に手が届かない。
 イチから魔術を組み立てればなんとかなるかもしれないが、それには技術も時間も到底足りない。
 どのみちすべてぶっつけ本番なので、うまく予想通り行くかも怪しいところなのだが、それでも今はやるしかない。
「ちょっと、はるか。本当に大丈夫なの?」
 つながったばかりのぼんやりとした視界に木津の顔が見える。
 いきなり立ち止まってふらついたはるかを心配したのだろう、木津が隣から声を掛けてくる。
「だ、大丈夫」
「ユウのヤツと一緒に練習に行ったらしいけど、まさかそれだけで泳げるようになるとは思えないし。今からでも遅くないから、棄権しちゃったら?」
 その何でもないような木津の一言に俺は少し違和感を覚える。
 はるかの親友である木津ならば、なんとしてでもトレミー勝てって応援すると思ってたんだがな。
「ね、悪いこと言わないからさ。無理して溺れちゃってもいけないし。それに私、今月レンズ買っちゃってピンチなのよね」
「ピンチ?」
「あ~、なんでもない、なんでもない。気にしないで。ははは」
 つい本音が出てしまった木津は慌てて笑顔で取り繕う。
 なるほど、加路の情報源はここか。確かにこいつなら『友情とお金は別物よ』とか平気で言いそうだ。
「本当に大丈夫だから」
 はるか本人のようにうまくできたかは分からないが、営業スマイルで木津にそう言うと、俺はプールへと続く渡り廊下を進み、立ち止まる。
「あら、はるか。どうしたの?」
「い、いや、なんでも・・・」
 俺はその扉の前にただ立ち尽くすしかなかった。
 そのアルミ製のドアには『女子更衣室』の文字。
 磨りガラスの向こうではクラスの女子たちだろう、ぼんやりとしたシルエットがいくつもあり、時折きゃっきゃした声がかすかに聞こえてくる。
「ははーん、やっぱりここまで来て怖くなっちゃったんでしょ?」
 木津が隣から見上げるように意地悪な視線を向けてくる。
「・・・・・・」
 迂闊だった。俺としたことがなんということだ。
 今思えば、別にはるかに憑依するのは着替えてからで良かったような気がする。
 これは明らかな作戦ミス!
 ぶっつけ本番だが、いや、だからこそ何度も見直して、何度もシュミレーションした、一部の隙もない完璧な作戦だったはず。
 だが、そこだけがまるで初めから天に運命付けられていたかのように、ぽっかりと穴が開いていたのだ。
「早くしないと授業始まっちゃうわよ?」
 背後の木津がするりと脇を抜けて、その聖域への扉になんの躊躇もなく手を掛ける。
 ちょ、待て、まだ心の準備というものが!
 俺の心の声も虚しく木津がバッ、と勢いよく扉を開く。
 その古ぼけたアルミの扉の向こうは正に秘密の花園だった。
 ビザもパスポートもいらない日本国なのだが、健全に、真っ当に生活していれば、まず一生入ることは無いであろう場所。
 右も左も、前も後ろも、女子、女子、女子。
 『女子』更衣室なので当たり前なのだが、ここまでの女子の集団の中にポツンと一人置かれ、俺は軽く目眩を起こしそうだった。
 作りだって男子の更衣室とはほとんど変わらない。
 だが、その光景は全く違う。
 ゴツゴツしたムサい男子どもが密集する男子更衣室とは違い、柔らかな曲線に彩られたクラスの女子達が目の前で服を脱いで、水着に着替えているのだ。
 チラリと除く色とりどりの下着。終いには「あっ、そのブラかわいい~、どこで買ったの?」とか品評会が繰り広げられている始末。
 さらに微かに漂ってくるシャンプーの匂いに、頭が一瞬くらっとなる。
 頑張れ俺の理性!
 そう心の中で自分を一喝し、覚悟を決めた俺は改めてロッカーに向かい合う。
 ・・・さて。
 俺はポーチから水着を取り出し、早速途方に暮れていた。
(これ、どうやって着るんだ?)
 今、俺の手には胸の所に大きく「霞野」とマジックで書かれたはるかのスクール水着がある。
 普段の俺だったら、この時点で変態扱いは免れないだろう。下手をすれば家に連絡、三者面談、社会的に死亡。という最悪なパターンだって十分あり得る。
 だが、今この女子の真っ直中にあっても誰も不審がる者はいない。
 俺は今、他の誰でもない、はるかなのだ。
 もし、ここで俺の理性が崩壊し、魂の赴くまま暴走してしまったら・・・
 一瞬垣間見えた最悪の結末に、俺はふるふると頭を振ってそれを否定する。
 そんなことになってしまっては、トレミーとの勝負所の騒ぎではない。
 今一度心の中で決心し、目の前の難題に立ち向かう。
 とりあえず、他の女子を観察してみる。
 いくら女子同士といえど、さすがにそれは怪しいし、理性が吹っ飛びそうだが、今はそんなこと言っていられない。
(なるほど、上から足を通すのか・・・)
 ふむふむ、と思わずうなずいてしまい、その視線に気づいたらしいその女子が振り返って思わずピタリと目が合う。
「ははは・・・」
 とりあえず笑って適当に誤魔化すが、確実にあの女子には不審がられたことだろう。はるか、変な噂が立ってたらスマン。
 水着の着方が分かった所でそれでもまだ問題はほんの一部しか解決されていなかった。
 当然ながら水着を着るためには、今着ている制服を脱がなくてはならない。
 とりあえず、一度水着をロッカーの中に起き、改めて今は自分の、はるかの体を見下ろす。
 紺色の下地に白く一本線の入った襟のオーソドックスなセーラー服が胸で押し上げられておなかあたりが見えず、その下にはスカートのプリーツがあって、そこから白い足が伸びていた。
 まずは袖のホックを外す。これは簡単だ。
 えーと、次は・・・
 ほかに外せそうな所を探すと、セーラー服の脇にジッパーを発見。
 だけど、これは途中までしかない。とりあえず、一番上まで上げておく。
 これでかなり胴回りは楽になって、そのまま脱ごうとするが、どうも襟が首に引っかかって無理みたいだ。
 そこで襟を注意深く見ていくと、襟と中襟の間にボタンがあった。これを外せば顔が通るはず。
「ふぅ」
 やっとの思いでセーラー服を脱ぎ、あらわになった真っ白なはるかの白い肌をなるべく意識しないようにセーラー服を畳んでロッカーに置く。
 次はスカートだ。
 ぐるりと腰回りを確認して、ようやくジッパーを見つけ、それを降ろす。
 スカートを適当にたたんでセーラー服の上に置く。ふと、誰かの視線を感じた。
「・・・なに?」
「いやぁ、相変わらず見事ねぇ」
 振り返った俺に木津は全く動じることなくメガネの奥の怪しい視線をこちらに向け続けている。メガネのレンズが反射して実際の視線は分からないのだが、確実におなかのあたりからゆっくりと上にあがっていく視線を感じる。
「そういえば、そんなアザあったっけ?」
「アザ?」
「ほら、左の上の方」
 木津に促されるまま視線を持って行くと、パステルカラーのブラのカップに覆われた膨らみの上の方、丁度、心臓の位置あたりに小さなアザがあった。
「うーん、分かんないな」
 そりゃ、はるかの胸なんて初めて見たんだから。この前憑依したときだって、ちらっとしかみてないし、それどころでは無かったし。
「気をつけなきゃダメよ。多少はレタッチでなんとかなるけど、無いに超したことはないんだから」
 木津はさも得意げに言ってから、自身の着替えを再開する。なるほど、木津の言っていた通りボリュームは確かにはるかの勝ちだ。
 それをちょっと嬉しく思いつつ、俺も着替えを再開する。
 残るは最後にして最大の難関。下着だ。
 なるべく見ないように目を細めているので、ぼやっとしか見えないが、どうやらパステルカラーのブラをしているらしい。
 他の女子を見習ってバスタオルを体に巻き付ける。
 ブラは後ろにホックがあるというのは予備知識として持っているので、それを外すべく後ろに手を回す。
「おお」
 女子の体のほうが柔らかいのか、難なくホックの所に手が届き、その柔らかさに思わず声を上げる。さらにはるかの体が慣れているのだろう、手こずるかと思っていたホックもすんなりと外れた。
 同様にショーツも脱ぐ。
 男のそれとは違い、よく伸びる素材で作られたショーツは脱ぐとくるくるに丸まってしまった。
 その、まだ体温の残るショーツをキレイに伸ばしてたたみ、ロッカーに置いたときは気が狂いそうだった。
 一応バスタオルを体に巻いているものの、俺の眼下にはるかの生まれたままの姿があるという事実。
 このまま、視線を下に持って行けば・・・
「ダメだ、ダメだ・・・」
 ぶんぶんと首を振って、邪念を吹き飛ばす。
 せっかくなら、こんな覗き見をするような姑息な手段ではなく、正々堂々とだね・・・
 正々堂々?
「いやいやいや・・・!」
 と、とにかく、負けるな俺の理性!
 そう心の中でもう一度気合いを入れ直し、意を決して水着に足を通す。
 体に触れる空気が確実に元の男の体とは違うことをいちいち意識させるが、ぎゅっと深く目を瞑って、徹底的にその感触を無視する。
 そのまま肩紐を持って、上に引っ張っていく。
 男子の海パンとは違う、よく伸びる生地がするすると体の上を覆っていき、ぴっちりと体に密着していく。
 それがさらに否応なく体の起伏を意識させるが、我慢、我慢。
 と、そこで手の甲に何かとてつもなく柔らかいモノが当たった。
「・・・!」
 手がピクリと反応し、カーッと一気に頭の中が紅潮するが、すんでの所でなんとか押しとどめて、ぐいと一段と大きく水着を引っ張って、一気にその柔らかい塊を越える。
「ふぅ」
 そのまま、なんとか両方の肩紐を無事に腕に通し終えて一息着く。
 だが、天の意志はそれだけでは満足しないようだった。

ptr06m.jpg
「わぁっ!」
 ふにょん、という音がしたんじゃないかと思うような、柔らかい感覚が意識の中を突き抜けて俺は思わず声を上げてしまう。
 驚いて胸を見下ろすと、ほどよく膨らんだ胸に誰かの細い指が沈み込んで、それがうにょうにょと動いている。
「なによ~、また大きくなってるんじゃない?」
 慌てて後ろを振り向くと、背中にぴったりと顔をくっつけた木津が意地悪っぽい笑みをうかべてこちらを見返していた。
「や、やめ・・・」
 やっとの思いでかろうじて抵抗の声を上げるが、木津はそんなのお構いなしに指を動かし続ける。それに合わせてはるかの胸がほどよい弾力を返しながら自由に形を変え、その感覚が止めどなく頭の中に押し寄せてくる。
 こ、堪えろ俺の理性!
「もうっ!」
 そのまま何とか身を捩って木津を振り払う。
「あ~ん、はるかのケチぃ」
 無意識のうちに手を交差して胸をガードする俺に木津は不満そうに口を尖らせる。
 今のはヤバかった・・・
「もうみんな行っちゃったわよ?はるかも早くしないと」
 気づけば更衣室にはもう俺と木津だけになっていた。
「あ、すぐに行くから先に行ってて」
 そう木津を見送ってから急いでキャップやゴーグルを取り出して、俺も更衣室を出てプールサイドへと向かう。
 移動の間も男子の物とは全く違う、水着が胸元まで覆っているという感覚はどうにも慣れなかった。
 それでも、必要以上に胸の部分が圧迫されているような気がする。どれで正常なのかは俺には全く持って分からないが、やはり木津の言う通りはるかの成長は著しいのだろうか?
「だから、今はそんな場合じゃないって」
 これが目的じゃないんだ、と誰に言うわけでもなく言い訳をしながら、プールサイドを進む。
 勢いを増しつつある初夏の太陽に照らされたコンクリートが暖かく、心地よかった。

 はるかの体は水に入るだけで拒否反応を起こした。
 心の奥底から黒い恐怖のようなものが染み出して、動けなくなってしまう。
 プールの水温がまるで氷のように冷たく感じられ、心地よいはずの水の流れが自分を押し流してしまうんではないかと思えるほどの水圧に感じられるのだ。
 俺自身は普段のプールの状態を知っているので、この感覚は恐怖からくる錯覚だと分かるのだが、未だ幼い頃の心の傷が癒えていないはるかにとってはそれは現実以外の何物でもなく、自分自身の中のあの濁流のイメージが現実にはありもしない感覚を引き起こしているのだろう。
「あーら、委員長さん。どうしたの?」
 その恐怖に愕然としながら、それでも水に慣れようとプールに浸かっていると、後ろから声が掛かる。
 振り向くと、そこにはスタート台の上に仁王立ちするトレミーの姿があった。
「まさか、1メートルも泳げないなんてのは無しなんだからね。ちっとも面白くないじゃん」
 言い終わるや、ふふんと余裕の笑みを浮かべたトレミーはスタート台を蹴ってプールへと飛び込む。華麗なフォームで着水し、そのまま水を切り裂くような鋭いクロールであっという間に25メートルを泳ぎ切る。
 そのスピードは誰が見ても速く、プールの対岸に上がったトレミーにさっそく水泳部の女子が勧誘を試みていたほどだった。
 それに対し「そんなの興味ない」とでも言ったのだろう、勧誘に失敗してがっくりと肩を落とす水泳部の女子の脇を抜けたトレミーはちらとこちらを見やって、もう一度勝ち誇った笑みを浮かべ、元の列に戻っていった。
 
 結局、今年初めての水泳の授業と言うことで、何回かプールを往復した後はとりあえず自由と言うことになった。
 俺はそれまでの時間を使って、なんとかはるかの体を水に慣れさせ、まだ多少ぎこちないものの、なんとか泳ぐことが出来るようになっていた。
 準備体操の時にも感じたが、はるか自身の身体能力はかなり高い。とりあえず泳げるだけという俺の技術的な面を差し引いても、十分平均より早いタイムが期待できるだろう。
 だが、今回の相手はあのトレミーなのだ。先ほども見せつけられたように、あの小柄な体型からは想像できないような身体能力で、下手な水泳部より早いタイムを叩き出してくるに違いない。
 そして、トレミーに勝たなければ、もし負けてしまえば、俺たちはトレミーに対抗しうる唯一の抑止力を失うことになるのだ。
 トレミーが思うまま行動すれば、クラス自体どうなってしまうのかも想像できないし、勝負に勝ったことを良いことに、はるかに何をするかも分かったものではない。
「それだけは避けないとな・・・」
 俺は未だに小さく震えるはるかの体を自分で抱き、そう心に誓うのだった。
 
「皆さん、大変長らくお待たせしました!」
 頃合いを見計らって加路がプールサイドに立ち、おもむろに声を張り上げる。
 その手にはどこから取り出したのかダミーマイクが握られており、更に首に蝶ネクタイという完璧な司会者スタイル。ただ、首から下は海パン姿なので全体としては微妙な格好だが。
「これより宇木中学校2年3組、臨時水泳大会を開催したいと思います!」
 おおーっ!とクラスの連中から盛大に歓声が巻き起こる。
 ちなみに、体育担当の平目は加路からどんな説明を受けたのかは知らないが『そうやってお互いを磨き上げていくのはいいことだ。これぞ青春のスポーツのあるべき姿だ!』と勝手に勘違いして、自ら審判を務めるとまで言い出したのだった。
「さぁ、では早速対戦者の紹介に移りたいと思います。まずは・・・」
 加路はここでタメを作った後でバッと大げさに腕を振って俺の方を指す。
 プロレスだったらここで入場口にスポットライトが当てられるのだろうが、あいにくそんな設備があるはずもない。それでも澄み切った空の下、クラス全員の視線が俺に集中する。
「わが2年3組が誇る清き正しきクラス委員。かすみぃのぉ~、はぁるかぁぁ!」
 ワーッと歓声が巻き起こり、半ば呆気にとられている俺を隣の木津が「ほら、立った立った」と肘で突っつき、立ち上がるのを促す。
 いったん止んだ歓声の中、俺がおずおずと立ち上がると、とたんにまた歓声が上がる。
 ぐるりと見渡したクラスメイト全員の視線が俺に注がれ、俺はどうして良いのか分からないまま「ははは」と困ったように笑みを浮かべて、適当に手を振って答える。
(ヒューヒュー、様になってるぜ~)
(うるさい)
 その中に自分の姿をしたアルキメデスを見つけ、目があった瞬間に冷やかしの意識が送られてくる。
 何度もきょろきょろと視線を巡らすが、必ず俺の死角からおしりだとか胸に視線が注がれているのが感じられ、とても気持ちのいい物ではない。
「対するは、2年3組に彗星のごとく現れた謎の美少女転校生。トォレミィィ、マブデイルゥゥゥ!」
 同じく歓声とともにクラス中の視線を集めたトレミーが勇々と立ち上がる。
 無論、俺のときと同様にトレミーにも熱い視線がそこかしこから送られているが、そんなの一切気にすることなく、ただ真っ直ぐにこちらに自信に満ちた視線を向けていた。
「因縁の対決に勝利し、栄光の勝利をつかむのはどっちだ!」
 再びやんややんやと一段と大きい歓声が沸く。
「さぁ、両選手はレーンへ」
 すっかり司会が板に付いている加路に促されるまま、俺とトレミーは並んでスタート台へと向かう。
「ちょっとは泳げるようになったからって、私には勝てないんだからね。ユークリッドからもらったこの腕輪もあるし」
 スタート台へと向かうプールサイドでトレミーは顔を前に向けたままそう声を掛けてくる。
 俺はどう答えていいのか分からずに、とりあえず聞こえないフリ。
 トレミーはいつもの挑発にも乗らず、無視を決め込まれたのが気にくわなかったらしい。
「ふんっ、いいもーん。後で吠え面かいても知らないんだから!」
 トレミーはそう捨て台詞を吐いて、隣のスタート台へぺたぺたと早足で歩いて行った。

「さぁ、いよいよレース開始です!」
 俺とトレミーが並んでスタート台に上った事を確認して加路が高らかに宣言する。
 おいおい、普通にレースとか言ってるし。
 俺の不満をよそにクラスの奴らの興奮はいよいよ最高潮に達しつつあり、全員が今か今かとスタートの瞬間を待っていた。
 俺とトレミーがスタート台へ上がり、スターターも勤める加路がプールサイドで号砲を構える。
 先ほどまでの歓声が嘘のように止み、しんとした静寂がプールの水面の上に立ちこめる。
「よぉーい・・・」
 パァン!という号砲の音に素早く反応し、踏み台を蹴る。
 しなやかに反応したはるかの体が力強くスタート台を蹴って、ふわりという浮遊感の後でバシャン!と音を立てて澄み切った水面にダイブしていく。
 その瞬間、はるかの体が一斉にこわばる。
 一応泳げるようにはなった物の、飛び込みをするのはこれが初めてだ。
 今までに無い激しい水流に体があのときの恐怖を思い出して悲鳴を上げているのだ。
 これはもうトラウマと言っていいほどの精神的負担だろう。普通なら専門の医師が付き添って長い時間をかけて少しずつ直していくものを、はるかは自分自身の力だけで前に進んでいたのだ。
 はるかはそれほどまでの水の恐怖と戦っていたのだと改めて思い、その痛みを解きほぐすように硬直する体を優しく動かしていく。
 やがて段々と体自身も水の恐怖を克服したのか、体が動くようになってくる。
 そうなると運動神経自体は悪くないはるかの体は俺の意志に沿ってスムーズに動き、水を掻き分けてぐんぐんと進んでいく。
 少し余裕が出来てトレミーの位置を確認する。だが、周りにそれらしい姿は確認できない。 もうそんなに離されてしまったのか、と少し焦りつつもさらに周囲をよく見ると、驚いたことにまだトレミーはスタート台の上にいたのだった。
「このくらいのハンデ、当然よ」と言わんばかりの余裕の笑みを浮かべたトレミーがようやくスタート台を蹴り、プールへ飛び込む。
 もう既にこちらは三分の一以上の距離を進んでおり、いくらトレミーが泳ぎに自信があるとはいえ、オリンピックの代表選手のような超人ではない普通の人間ならば、追いつくことはまず不可能だろう。
 ―――『普通の人間』ならば。
(・・・!)
 止めどなく流れる水の音に混じってキーン、と耳鳴りのような音を感じる。
 これは恐らく、トレミーの魔力の音。
「おおっ!」
 息継ぎの合間にギャラリーの歓声が聞こえてくる。
 次の息継ぎで隣のレーンの後方を確認すると、トレミーがいるであろう所に高く水柱が吹き上がっていた。
 それはまるでロケットエンジンでも付いているかのように爆発的にスピードを上げて、キーンという耳鳴りが音を増しつつ凄い勢いで近づいてくる。
(やはりな・・・)
 魔力とはすなわち、生命を駆動するエネルギーのようなものだ。
 それを無理矢理余分につぎ込んでやれば、肉体は自分でコントロールできる以上の能力を発揮することが出来る。すなわち、魔力によって肉体の強化が可能なのだ。
 そして、じゃんけんとは必ずしも運だけの勝負ではない。実力で確実に勝つ方法もある。
 例えば、限りなく早い遅出し。
 ちょっと動体視力を強化し、相手が何を出すのか分かった時点で、ちょっと腕の筋肉を強化して自分が勝つ手を一瞬のうちに出してしまえばいい。
 そうすれば誰も遅出しだなんて気づくことなく確実に勝つことが出来るのだ。
 しかし、それでもあの数学の授業の説明が出来なかった。いくら魔力を使ったとしても、自分自身の思考能力自体を高めることは出来ないはずだ。
 だが、それも至極単純なことだった。
 つまりは結局、コンピューターだって1と0の計算しかしていないということ。
 速度にものを言わせて、トライ&エラーですべてのパターンを試してみればいい。
 特にあの問題は一度きっかけさえ見つけてしまえば、後は単純な計算の繰り返しで強引に解を求めることが出来たのだ。
 だが、分かっただけでは意味がない。
 こちらはもうゴールまで残り三分の一ほどの距離まで来ていたが、トレミーは既に半分を泳ぎ切っていた。いくらはるかの身体能力が優れていたとしても、魔力によって常人以上の筋力を得たトレミーに敵うはずもなく、このままではあと何秒もしないうちに追いつかれ、確実に抜かれしまう。
 しかし、仕組みが分かれば対策を取ることも出来るのだ。
(ならばこっちも・・)
 俺は後ろに迫って来ているであろうトレミーの腕に意識を集中する。
 先ほどトレミーに渡した腕輪はもちろんただの腕輪ではない。
 俺が発した思念に反応して腕輪のクウォーツが淡い光りを発する。
 そしてそれぞれが互いに線を結び、六芒星を形作る。
「・・・んんっ!」
 突如トレミーの魔力が乱れ、その動きが鈍くなっていく。
 腕輪に仕込んだクォーツには儀式によって指向性を持たせてあり、俺の意識によりその仕掛けを発動させることができるのだ。
 六芒星。2つの三角形を上下に重ね合わせたその図形は『魔封じ』の意味を持つ。
 丁度、手首を輪切りにするように展開された魔封じの陣により体の魔力の流れが寸断され、さらに周囲に配置されたアクアマリン、ターコイズなどのリラックス系のパワーストーンが魔力を吸収していく。
 これでトレミーは魔力による肉体強化は使えないはずだ。
 あのキーンという耳鳴りのような音が急に小さくなっていき、それにあわせるようにトレミーの速度もどんどんと落ちて行くのが分かる。
 このままはるかの体で泳ぎ切って、はるかに勝たせてやっても良いが、はるかにせよトレミーにせよどちらかが勝ってしまうと、何かしら後腐れが残りそうな気がする。出来れば適当にペースを調整して同着に持っていけるようにしたい。
 二人の勝負に水を差すようで悪いとは思うが、やはり二人にはどちらが上とかではなく、対等に『友達』になって欲しいと俺は思う。
 自分でもお節介だと思うし、実際アルキメデスにこの作戦のことを話したらそう言われた。
 ちっぽけなワガママでもなんでもいい。はるかとトレミーの二人にはいつでも笑っていて欲しいと俺は思う。
(ユウ!ヤツの様子がおかしい!)
 突然飛び込んできたアルキメデスの意識の慌てように、俺は急いで後ろを振り返る。
 魔力による肉体強化が出来なくなったところで普通の身体能力に戻るだけ。
 そのはずだ。
 だが、振り返って見たそこには、先ほどまでの水柱は無く、ゆらゆらと揺れる水面の少し下に、沈みゆくトレミーの小さな体がかろうじて見えるだけだった。
「トレミーっ!」
 俺は慌てて反転し、無我夢中で水をかき分け、トレミーへと向かう。
 近くまで来たときにはもうトレミーはプールの底に着こうかという所まで沈んでおり、俺は慌てて水中へと潜り、素早く体を抱いてプールの底を蹴る。
 ぷはっ、と水面に出て、抱き上げるようにしてトレミーの顔を水面に出す。
 ゴホゴホッ、と水を吐きはしたものの、トレミーはそのままぐったりと力なく体重を預け、静かに目を閉じたままだった。
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読ませて頂きました。

どうも、初めまして、k27と申します。
いや~、楽しませて貰いました。
憑依モノは良いですね。
設定と描写が凝っていて面白かったです。この後、トレミーがどうなるのか凄く気になります。

Re: 読ませて頂きました。

コメントありがとうございます!
こちらこそ初めまして~
これからもどうぞよろしくお願いします。

やっぱり憑依モノは自由度が高くて良いですよね~
今回は終わりを引っ張りすぎて自分でハードルを上げてしまった感が否めないですねw
それなのに設定に懲りすぎてなかなか落としどころが見つけられなくなりつつありますw
そんなこんなでまだまだ拙い文章ですが楽しんでいただければ幸いです。

K27さんの『ヒダラ』もいいですね~
皮モノの怪しさと忍者の妖しさがマッチして凄く面白いです!
続きがきになります。
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