FC2ブログ

ラプラスの書§1-1

やっとこさ出来てきましたので最初の方だけUPします。
TS処女作なわけですが、ほとんどTS要素が無いです。
しかも普通に長い。ダメダメですね。
良かったら読んでやってください。
ブログは読みにくいという方はリンクの「書架」へどうぞ。
まだブログよりはマシかと。
web拍手
§1「マクスウェルの箱」

【1】
「よいしょっと」
 その石は予想以上に重かった。
 石をどけた地面はしっとりと湿っており、突然の日光に驚いた虫たちが慌てて草むらへと逃げ出していく。
「いないか・・・」
 その姿をすかさず目で追うが、目当てのものはいないようだった。
 再び石を元の位置に戻す。
 校舎越しに射す日差しが暖かい。
 五月にもなるとぐんぐん気温も上昇して、春に目覚めた虫や草たちが夏に向かって生命力をみなぎらせていくのがあちこちから感じられるようだ。
「なにやってんのよ」
 不意に声を掛けられる。
 振り向くと、そこには少女の姿があった。
「何だ、はるか」
「何だ、じゃないでしょ?」
 彼女は霞野 遥(かすみの はるか)。
 俺の幼馴染で同じクラスでクラス委員だ。
 はるかはその黒く長い髪を風に躍らせながらずかずかとこちらに向かってくる。
 イマイチご機嫌は麗しくないようだ。
 元々吊り目がちな眼をさらに吊り上げたその表情はどう見ても愉快そうには見えない。
「ゆーくん、今は何の時間だと思ってるのよ!」
 感情が抑えきれないのか、止まる2、3歩前から口を開き始めている。
 あと、ゆーくんというのはやめて欲しい。
「何だっけ」
 俺は率直に答えた。
 えーっと、今は給食が終わってその後だから・・・
「掃除の時間でしょ?」
 俺が答えを導き出すより、はるかの口が開くほうが早かった。
「ああ、そうそう。今思い出した」
「んもー、サボってないでちゃんと掃除してよ。みんなちゃんとやってるんだから」
 そう言われて辺りをうかがうと、俺を除いた班の連中が黙々とゴミを拾っている。
「掃除の時間に掃除をしていない俺が悪いのだということは分かる」
 口をへの字に曲げてこちらを睨むはるかをなだめる。コイツが怒ると色々と厄介だ。
「だが、待って欲しい。俺だってここには掃除をする目的でやってきたのだ。だが、見てみろ。この校舎裏を」
 俺の振られた腕につられて、はるかも一緒にこの校舎裏を見渡す。
 我が3班の担当であるこの校舎裏は巨大な校舎に遮られて日当たりが悪く、ジメジメしていた。地質標本用に置かれた流紋岩や玄武石にはあちこちコケが蒸し、打ち捨てられた木材はしっかり朽ちてキノコすら生えているほどだ。
「汚いよ」
「はぁ」
 はるかの即答に俺は盛大に溜息を吐く。これだから一般人は。
「分からないか?」
「全然?」
「もっと耳を澄ますんだ。聴こえるだろう。生命の鼓動が、大地の息吹が!」
 学年が変わり、掃除場所も変わった。
 今日初めてこの場所にやってきた俺は驚愕した。
 『ここにならいる』と。
 そして、俺はあたりの石をひっくり返さずにはいられなかったのだ。
 それこそ今が掃除の時間だということを忘れるぐらいに。
「はぁ」
 ひとしきり俺の弁解を聞いたはるかは疲れたように溜息を吐く。
 恐らく掃除をサボるための言い訳程度にしか聴こえていなかったのだろう。
「だいたいねー・・・」
 その言葉を皮切りにはるかの口から留まることなく言葉があふれ出る。
 どこらそれだけの文章が浮かぶんだと不思議に思うくらい、次から次へとまるで呪詛のように喋りまくっている。やれ昔からゆーくんはどうの、もう中学生なんだからどうとか。
 コイツが先生なんかになったら最悪だと思う。下手にキャリアウーマンになって上司なんかになったらきっと速攻で胃に穴が開くに違いない。
 昔(といってもたった数年前だが)は良く遊んだのになぁ、とありがたい御高説を右から左へと聞き流しながらぼんやりとそんなことを考えていた。
 はるかの家は神社で、しかも俺ん家の隣。
 神社の境内というのはかくれんぼや鬼ごっこというガキの遊びをするには絶好のスポットである。それこそ昔は近所の友達と毎日のように日が暮れるまで若いエネルギーをぶつけ合ったものだ。
 しみじみと物思いにふけながら、時にはジェスチャーまで交えてあいかわらず熱弁を振るっているはるかに眼をやる。
 中学校に入って急に大人びたというか、ガキのころのイメージからはがらりと雰囲気が違ってしまったような気がする。
 そして、なにより問題なのが身長だ。
 はるかのほうは小学校高学年から一気に伸び始めたが、一方の俺は中学に入った今でも伸び悩み、去年も2センチ伸びただけに終わっている。
 今ではわずか数センチだが、はるかのほうが高いくらいだ。
 数年前まではいつも泣いていて、俺の後をくっついてきてたのになぁ・・・
 時間が経つと女は変わってしまうとドラマなんかでは格好つけた俳優がよく言ってるが、まったくその通りだと思う。
 特に今年に入ってクラス委員なんて始めてからは余計に口うるさくなったような気がする。
 それだって、誰も立候補がなくて担任に「霞野さん、どう?」と聞かれて断れなかっただけのことだから、そこまで張り切る必要も無いと思うんだが。
 そうして、ありがたいお説教も佳境に入り、まとめに入ろうとしたときだった。
「ニャー」
 と足元で声が聴こえた。
 横目で声のほうを見ると、いつのまにか一匹の野良猫が俺の右足に擦り寄っていた。
 どこかの隙間から入ったのだろう。古い金網のフェンスは所々さびて穴が開いているから、野良猫なんかが入るのは造作も無い。
 その猫は雑種らしく三毛が混じっているが、それが丁度いい具合に模様になっている。
「ゆーくん、聞いてるの?」
「ん、ああ」
 猫に気を取られ視線を逸らしていたことをはるかに気づかれてしまったようだ。
 生返事をした俺を訝しく思いつつも、足元の猫に気がついたらしい。
「かわいい・・・」
 そう小さく呟いたかと思うと、すぐさま俺の後ろに回り込んで猫覗き込む。
「なるほど、この子を保護しようとしてたんだ。ゴメン」
 と、ちろちろと猫のあごを撫でながらこちらに視線を向けてくる。
 どうやら彼女は上手く勘違いをしてくれたらしい。
 いくら俺だって石の下に猫がいるとは思わない。物理的に無理だ。
 だが、ここは天からの好意に甘えることとしよう。
「あ・・ああ。そんなところだ」
「キミ、迷子なの~?」
 つい先ほどまでの不機嫌はどこへ行ったのか、すっかり猫を気に入ったようでいつの間にか抱き上げていた。
「・・・!」
 そして、俺はそれに気づいた。
 無邪気に猫とじゃれているはるかの笑顔が輝いて見えたのは後の用具室の白い壁に反射した陽光のためだけではない。
「はるか、そのまま」
 俺はゆっくりと右手を伸ばしていく。
「な、何?」
「いいから、じっとしてて」
 突然のことに俺を睨み付けるはるかを動き出さないようにやさしく制止し、さらに手を伸ばす。
 やがて俺の手がはるかの頬に触れ――
「やった!」
 ――ることは無く、俺の指先は用具室の壁に張り付いていたそいつを捕獲する。
「へ?」
 はるかは一瞬あっけに取られたかと思うと、不思議そうに俺の手の中を見る。
「なに?トカゲ?」
「違う、ヤモリ。ほら、瞼が無いだろ?」
 しかし、それがイグアナだろうが、コモドオオトカゲだろうが、はるかにはあまり関係が無いようだった。
 目前に差し出された細長い瞳孔とはるかの目が合ったかと思うと、
「キャーーーー!」
 絹を裂くようなとはほど遠い、悲鳴というより絶叫が昼下がりの平和な学校に響く。
 学校の裏手にあるこの場所では校舎に反響し、体が震えるほどの大音響だ。
「うごっ」
 俺は慌てて耳を押さえるが、わずかに遅くキーンという耳鳴りが耳の中に残っている。
 突然の轟音に野良猫は慌てて逃げ出していた。奴もタダではすまなかったはずだ。
 あの後、悲鳴を聞きつけた生徒指導の体育教師が駆けつけ、俺は問答無用で職員室まで連行された。
 昼休みだけでは足らず、放課後も呼び出されてたっぷり2時間説教を喰らう羽目になった。
 ようやく開放されて校門をくぐる頃にはまだ短い日はすっかり傾いていて、辺りはもう薄暗くなっていた。
 もう当分説教は聞きたくない気分だった。
 耳鳴りだってまだ止んでいない。
 しかし、コレというのもはるかのせいだ。
 夏になればヤモリぐらいヤツの家のほうがいそうなものだが。
 学校より神社のほうがよっぽどヤモリが似合う。
 まあ、しかし。
 ここは俺の慈悲深く寛大な心で許すとしよう。
 鞄の隅にタッパーがあるのを確認し、俺は一人ほくそえむ。
 
 これで材料は揃ったのだから。
スポンサーサイト
FC2公認の男性用高額求人サイトが誕生!
稼ぎたい男子はここで仕事を探せ!
デリヘルもソープもイメクラも気に入った子がきっと見つかる
超大型リニューアル中の大好評風俗情報サイト!
[PR]

 

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

eta

Author:eta
まあ、適当に。

当ブログはTS(性転換)及び性的描写を取り扱います。
18歳未満の方、興味の無い方の閲覧はご遠慮下さい。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
リンクについて
当サイトはリンクフリーです。
バナーは以下のものをご使用ください。
tsxlogos.jpg
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード