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ラプラスの書§2-1

なんとか一話目だけできました。
またまた長くなりそうな予感がします。
今回は一話目からTS要素ありですよ!

しかし、今月は決算月もあって最初からクライマックスな忙しさですね

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 「深淵のプトレマイオス」
 
1.
 最近はずいぶんと暖かくなって日も長くなってきたが、さすがに夜の12時にもなるとまだちょっと肌寒い。
 机の上に置かれた2本のロウソクの灯りが揺れて、壁に映る俺の影も一緒にゆらゆらと揺れる。
 そのロウソクの間には一冊の本が置かれている。
 〈ラプラスの書〉というその本は俺が祖父から譲り受けた魔術書だ。
 まだほんの一部しか解読出来ていないが、この本にはありとあらゆる魔術の方法が記されているらしい。
 そして、その〈ラプラスの書〉の前にちょこんと座った猫がこちらを見ていた。
「じゃあ、そろそろ始めるぞ?」
 一通りの準備が整ったことを確認して俺はその猫、アルキメデスにこれから儀式を始めることを確認する。
「おう、好きにしてくれ」
 眠そうに「くぁぁ」と欠伸をするこの猫は確かに人間の言葉を話した。
 正確には霊圧の振動を利用した直接的な意思の疎通、いわゆる『テレパシー』というものなのだが。
 それもそのはず、コイツはただの猫ではない。
 俗に言う『猫又』。早い話が猫の妖怪だ。
 ちょっと前にあった学校の幽霊騒動のときに知り合った猫で、コイツと協力することでなんとか騒ぎの元凶となっていた低級の悪魔を退けることができた。
 昔から西洋では猫は魔術師の使いとして馴染み深い。日本でも長い間人間に飼われた猫は猫又になると江戸時代ごろまでは本気で信じられていた。
 俺は苦労して訳した〈ラプラスの書〉のメモを片手に改めてアルキメデスに向き直る。
 妖怪といっても尻尾が二本ある以外は見た目は普通の猫と大差ない。案外妖怪なんて今もそこらじゅうにいるのかもしれないな。
 猫又の特徴であるこの二本目の尻尾は『幻肢』と呼ばれる霊媒物質(エクトプラズム)で構成された新たな器官であり、これにより自身の霊力を制御しているらしい。
 儀式用に少量の辰砂を混ぜた〈契約〉のオイルでアルキメデスの額に紋章を書き、同じように自分の額にも紋章を書く。
 意識を集中し、霊力をこめた言霊を紡いでいく。
「我はユークリッド。
 彼の者の名は〈アルキメデス〉
 互いに固き絆を共に誓い
 〈ラプラス〉の御名の前において
 今、ここに盟約を結ばん」
 その声に反応するかのようにオイルで紋章を書いた跡が淡く光り、滲みこんでいく様に消えていった。
 一応、これで契約は完了。
「どうだ?」
「なにも変わらないが?」
 アルキメデスはそう言いつつ、しげしげと自分の手(というか前足)を見る。
「まあ、外見的な変化は期待できないだろうな」
 俺は目を瞑り、意識を集中してアルキメデスの霊力を探す。
 アルキメデスが居るであろう机の辺りにぼんやりとした光のようなものを感じる。これがアルキメデスの波動だ。
(どうだ?聞こえるか)
 俺はその波動に触れるように意識して心の中だけで話しかけるように意識する。
(おう、バッチリ聞こえてるぜ)
 声が聞こえたらしく、ぱっとこちらを見たアルキメデスが同じように心に語りかけてくる。紋章による霊的な回線の構築という至って簡単な契約なので、この程度のことしかできないが。
 〈ラプラスの書〉によればこの契約で二人だけの意思の疎通ができるようになるらしい。
 先ほどアルキメデスが使っていたテレパシーでは周りの霊圧を震わせるから、ある程度の霊感があれば誰にだって聞こえる。だが、この方法なら霊感のある人が近くにいても感知されることなく二人だけで会話ができるはずだ。
 あとは大体だが契約者の距離と方向が分かるようになるらしい。さすがに1キロメートルぐらい離れてしまうと難しいが、強く探せば数百メートルぐらいなら離れても大体どの辺りにいるという感じは分かる。そして相手が感じられる距離ならば意思の疎通も可能なようだ。
「お、うまくいったな。偉い偉い」
「なんだよ、ご主人様に向かってその口の利き方は?」
「言っておくが、霊的な力はオレのほうが強いんだぜ?この前の借りがあるからお前に味方してやろうって言ってるんだ。人間の間じゃ猫の恩返しは期待できないなんていうらしいが、オレは自分の仁義は通す猫だ」
 器用に後ろ足で首を掻きつつ、視線だけこちらに向けてアルキメデスは言った。
 その態度に主人に対する敬意なんてこれっぽっちも含まれていない。
 まあ、それでもアルキメデスの言うことが正しいのは確かだ。実際、俺の霊力は『霊感の強い人よりちょっと上』程度でしかない。まだ会ったことはないが、この〈ラプラスの書〉に載っている魔術を使いこなせるだけの本物の魔術士ならば俺なんて全く相手にならないだろう。
 一方、アルキメデスは猫にとってはかなりの年齢を重ねて猫又になっているだけあって、ただの残留思念だけの動物霊とは霊力の差は歴然だ。それはしっかりとした自我を持っていることからも伺える。
「で、霞野のお嬢ちゃんとはどこまでいってんだ?」
 一通りの毛づくろいが済んだのかアルキメデスは全身をくまなく見回した後、唐突にそう言った。
 『霞野のお嬢ちゃん』というのは俺の家の隣、霞野神社に住む俺の幼馴染、霞野 遥(かすみの はるか)のことだ。
 まあ、色々あってだね。俺の中で幼馴染以上の存在になっていることは認めるよ。
 だからといって、猫なんぞにどうこう言われる筋合いはないはずだ。
「な、なんだよ、いきなり」
「ちゃんとあのあと告白したんだろうな?」
「な、なんでそんなこと知ってるんだよ!」
「伊達に尻尾が2本になるまで生きてないぜ。お前らを見てれば猫でもわかるさ」
 さも得意げにアルキメデスが言う。いや、そんなこと自慢されてもな。
「で、どうなんだ。もうキスまでしちゃったとか?」
「・・・」
 さらに質問を続けるアルキメデスの声はいかにも興味津々といった感じで、霊圧の振動からも嬉々としているのが伺える。
 お前はどっかのエロオヤジか。
「まさか、あれだけのシチュエーションで何もしてないなのか?」
「・・間が悪かったんだよ」
 俺はバツが悪そうに渋々口を開く。
 なんで俺が猫にまでこんな言い訳しなきゃならんのだ。
「かー、ダメだね」
 しかし、目の前の猫が前足で『お手上げ』をやるというのはなかなか新鮮な光景だ。
「発情期の俺なんて、そりゃぁもう凄いもんだったぜ?」
「猫と人間を一緒にするな」
 それに猫のオスはメスにつられて発情するんじゃないか、メスの尻ばっかり追いかけてたってことだ。この好色ネコめ。
「まったく、お前もいい加減煮え切らない男だな」
 アルキメデスの目が怪しく光ったかと思うと、その体全体が淡く光りながらだんだんと大きくなっていく。あっという間に俺の身長に迫るほどの大きさになり、やがてその形が人のものへと変わっていく。
 華奢な体つきは腰の辺りでゆっくりと丸みを帯びて、そのまま流れるような見事な曲線を描いて、すらっとした足へと繋がっていく。
 光が収まるとそこにははるかの姿があった。
 しかも全裸で。
「ぶっ!」
 俺は慌てて目を背ける。
「どうだ、上手いもんだろ?」
 ニヤリ、と口元を吊り上げてはるかの姿をしたアルキメデスが言う。
 猫又は美女に化けて人を騙すというのは有名だ。しかしこうして目の前でやってのけられると唖然とするほかなかった。
 霊力で練り上げた霊媒物質(エクトプラズム)で体を覆って人の姿を真似るらしい。
 ちゃんと声帯も構成できるらしく、その声も本人のものにしか聞こえない。
「わたし、ゆーくんのことが好きなの」
 真剣な表情になったかと思うと、手を胸の前で組んで上目遣いにこちらを見つめる。
 もちろん、ヤツの演技だ。
「や、やめろよ、アルキメデス」
 俺は目の前のはるかが偽者だと自分に言い聞かせるようにアルキメデスの名を呼ぶ。
「ねぇ、ゆーくんはわたしのことどう思ってるの?」
 俺の抵抗も全く意に介せずにさらに迫ってくる。
 ヤツめ、絶対面白がってる。
 それでも偽者とはいえ、全裸のはるかがにじりよってくるという状況は依然として変わらず、理性と欲望が頭の中でぶつかり合っている。
 たまらずじりじりと後ろに下がっていくが、すぐに後ろにあったベッドに退路を断たれ、そのままベッドに尻餅をつく。
「聞かせてよ、ゆーくんの気持ち・・」
 いよいよ身動きの取れない俺に覆いかぶさるようにアルキメデスが体を重ねてくる。
 もうお互いの息がかかりそうなくらいの距離。
 視界全部がはるかの顔と白い体で覆われ、自分の心臓の鼓動以外もう何も聞こえない。
 何か得体の知れないものが頭の中を真っ白に塗りつぶして――
「けっ、意気地なしめ」
 今まさに触れようかという瞬間、豹変したアルキメデスがつまらなさそうにそういって体を離す。
「なんだよ、人が協力してやろうって言うのに。あーあ、このままじゃ一生告白なんて出来やしないぜ?」
 両手を腰に当てたアルキメデスが呆れ顔で見下すようにこちらを見る。
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「よ、余計なお世話だ」
 はあはあ、と肩で息を吐きながらゆっくりと体を起こす。
 必死に抑えようとするが、高鳴る鼓動は一向に収まる気がしなかった。
 後3秒遅かったら自分が何をしていたか、ちょっと想像がつかない。
「しかし、凄いな。流石は猫又といったところか?」
 さすがに直視できるはずもなく、かといって顔を背けたままではアルキメデスに「おっと、お子様には刺激が強すぎたかな」と馬鹿にされるのは目に見えているので、ちょっと視線を外して照れ隠しにそう言った。
 薄暗いロウソクの灯りだけでよく見えないのが救いだが、逆にそれが魅力的に白い肌を闇に浮かび上がらせている。
「お褒めに頂き光栄です。ご主人様」
 ふざけたアルキメデスは家臣が王様にするように大袈裟に手を振って、うやむやしく礼をする。それはまさに俺がはるかを召使にしたというそのもので、普通に生活していたらまずお目にかかることが出来ない光景だ。
「なーんてな」
 一瞬で砕けた表情に戻ったアルキメデスが顔だけを上げてニカッ、と笑う。
 う、危うく化かされるところだった・・
しかし、アルキメデスが化けていると知らずにいきなりこんなことをされたら、絶対に騙されない自信はちょっと無い。
 いくら有り得ないと頭で分かっていても、心の奥底では期待してしまうものだよね、人間って。
 ああ、メイド服着てたら最高だったのにな。
「誰にでも化けられるのか?」
 使いようによってはかなり有効な手段になりえる。色々と。
「まあ、オレのイメージで化けるから、少なくとも外見が分からないとな。『写真』だっけか?あの眼鏡の娘がもってたやつ」
 『眼鏡の娘』というのはおそらく木津のことだろう。このまえの幽霊騒動に新聞部として付いてきた幼馴染だ。そのとき、木津がはるかの写真を撮っていたのを見ていたらしい。
「ああ、そうだ」
「その写真とかだけでもできないことはないが、写真に写っていないところはオレが適当にアレンジするから本人とは違ったりすることになるぜ」
 確かにそういわれてみれば顔が微妙に違う気がする。だが、そうだと最初から知っていなければまず気づかれることはないほどの再現度を誇っていた。
「というか、その耳・・」
 改めてまじまじとアルキメデスの顔を眺めて、ふと大きな違和感に気づく。急に迫られたりなんだりで全く気づかなかったが、頭にちょこんと猫の耳がついていたのだ。
「お、いっけね。久しぶりだからすっかり忘れてたぜ」
 アルキメデスが手で耳をひと撫ですると、きれいさっぱりと猫耳は消える。
「なるほど、その姿はお前のイメージってことか。確かにはるかはそこまで発育は良くないな」
 アルキメデスに茶化されたのが少々悔しく、それを悟られまいとちょっと強がりを言ってしまう。やはり人を化かす時の癖がでてしまうのか、本人より少々体のメリハリがしっかりと付いているようだ。
「そうか・・そうかもな」
 そういいつつ、アルキメデスはしげしげと自分の体を眺める。
「意外にちゃんと見てるんだな、エロガキめ」
 にまっ、とアルキメデスがこちらを見ていやらしく笑う。
「うるさい」
 俺は照れつつも少し怒ったようにそう言った。
 頼むからはるかの顔と声でそんなこと言うなよ。
 淡い光を放ちながらしゅるしゅると体がすぼんでいき、元の猫の姿に戻る。
「ふう、久しぶりにやると疲れるな」
 アルキメデスは首をコキコキ鳴らし、前足をぐるぐる回して肩と思しき所をグイグイと指圧している。へぇ、猫の肩ってあのあたりになるんだ。
「まあ。何はともあれ、よろしくな」
 コホン、と照れ隠しにひとつ咳払いをして、人差し指をアルキメデスの前に差し出す。
「あいよ、ご主人サマ」
 アルキメデスは前足で軽く俺の指を突くと、照れくさそうにヒゲを掻いた。

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