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ラプラスの書§1-4

懲りずに続けます。
ついにはTS要素がなくなりました。
そうなると、ただのつまらないラブコメですね・・
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マクスウェルの箱

【4】
 今日はよりによって最後の授業が体育だった。
 まあ、内容が体育館でバレーボールだったからまだ良かったが。
 あと一時間もしないうちに家に帰れるというのに、マラソンなんてさせられた日にはたまったものではない。
 さらに幸いなことに普段の体育の受け持ちである生徒指導の平目は何かの用事でいないらしく、たまたま開いていた担任の水谷先生が今回の授業の担当になっていた。
 だから体育の授業といっても実質のところ自習で、適当にチームが組まれ、適当にトーナメント戦が行われていた。
 俺たちのチームは早々に敗退し、俺はボーっと体育館の壁にもたれて決勝戦を眺めていた。
 目の前のコートで行われている決勝戦は明らかに盛り上がりに欠けていて、双方とも怠けていない程度にチャイムが鳴るまでの時間を消費しているのが明白だった。
 それに対して、もう一方の女子が使っているコートは盛り上がっているようだった。
 はるかが綺麗なトスを上げ、それを他の女子が華麗にスパイク。
 それは見事に相手チームの隙間を縫ってコートに突き刺さる。
 ワーッ、と女子の間から歓声が起き、笑顔でハイタッチ。
 はるかの人懐っこい柔らかな笑顔は昔からちっとも変わっていな。
 ふと、その笑顔が頭の隅にある懐かしい記憶に重なる。

 ――あれはいつのことだっただろうか。

「いーち、にーい・・・」
 新緑がまぶしい霞野神社の境内に木津の数を数える声が響く。こいつの声は小さい時から大きかった。
 その声を合図に俺達は一斉に駆け出した。
 いつ頃からだったかは忘れたが、小学校が終わってから日が沈むまでは霞野神社でかくれんぼをするのが幼い頃の俺たちの日常だった。
 かくれんぼの基本はいかにいい位置を確保するかだ。それで勝敗の十割が決まる。
 特に木津は観察眼が鋭い上に執念深い。体の一部が出ていようものなら一瞬で見つかってしまう。
 その上、木津は性格が悪い。見つけてもすぐには捕まえず、ゆっくりゆっくりと近づいてくるのだ。遠ざかったと思ったらすぐ近くに来たり、通り過ぎてやり過ごしたと一安心したところを見つけるとか、とにかくやることがえげつない。
 一緒に遊んでいた幼い頃の加路が恐怖のあまり泣き出してしまった事もあるほどだ。
 だが、俺にはとっておきの場所があった。
 普段から使っていてはいつかバレてしまうので、ここぞという時にしか使わないが、今まで一度も見つかったことのない秘密の場所。
 ここのところ負け続きなので今回は木津の鼻をあかしてやろうと、俺は一目散に秘密の場所へと向かう。
 が、そのあとを追う女の子が一人。
「付いてくんなよ!」
「はるかもそっちに隠れようと思ってたんだもん!」
 まだこの頃は短くおかっぱに切りそろえていた髪をなびかせながら、はるかは精一杯手足を振って付いてくる。
 だが、走りながら大声を張り上げたのがいけなかったらしい。
 はるかは見事なまでに足をもつれさせ、そのまま華麗にヘッドスライディング。
 ズザザザと軽く2メートルは滑っただろう。
 そのあまりの綺麗なフォームに俺はついつい足を止め、恐る恐る声をかける。
「大丈夫か?」
 むくり、とはるかは起き上がる。
 あまりに綺麗なフォームだったため、幸い体へのダメージは少なかったようだ。ズボンをはいていたので膝も擦りむいていない。
 しかし、服へのダメージは少なくなかった。大きく猫のプリントされたトレーナーは無惨にも土で真っ黒になっている。
「おかあさんに怒られちゃう・・・」
 数秒経ってようやく自分の置かれた状況に気づいたらしい。
 はるかの表情がみるみるうちに崩れていく。
 俺は慌てた。
 今泣いたらはるかが木津に捕まるのは確実だし、そうなると俺が見つかる可能性も高くなってしまうからだ。
「さんじゅう!へへへ、待ってなさいよ~」
 無情にもそこに木津の声が聴こえてくる。
 このままでは捕まってしまうのは時間の問題だ。
 かといってこのままはるかを放っておく訳にもいかない。
「はるか、こっちだ!」
 俺は思わずはるかの手をとって駆け出していた。
 このかくれんぼの舞台である霞野神社は山の斜面に沿って建てられており、麓に拝殿と幣殿があり、そこから少し登った高台の所に本殿がある。
 拝殿の左右からは板垣が伸び、山の斜面まで続いているため、拝殿の奥にある幣殿と更にその奥の本殿には入ることが出来ない。
 隠れる場所のルールは『拝殿のある麓の境内だけ』と決められていた。
 拝殿から伸びる板垣は山の斜面まで続いており、板垣を超えて中に入ることは出来ないが、板垣沿いに山の斜面を登ることで、むき出しになった大きな岩に登ることが出来る。
丁度下からは岩と木の陰で見えないし、登り方にもコツがいるために誰もこの場所を知らないのだ。
「ほら、そことそこに足を掛けて、次はそこ。よし、手を出して」
 俺は岩に素早く登ると、はるかに足を掛ける場所を教えて最後は手で引っ張り上げる。
 岩の上はちょっとした広さがあり、大人でも二人ぐらいは座れるぐらいのスペースがある。
 そこに二人で並んで座る。
「どうしよう・・・」
 随分と落ち着いたものの、まだはるかは半ベソかいている。
 ここで泣かれたらこの場所が見つかってしまうのは間違いない。そうなってしまえば苦労して見つけたこの場所もパーになってしまう。
「いいから、泣くな。俺も一緒に謝ってやるから」
「ほんとう?」
「うん。約束する」
 そう言うとはるかは安心したのか、服の裾でゴシゴシと涙を拭う。
「じゃあ、俺からもひとつ約束」
「なに?」
「この場所は俺の秘密の場所だ。俺以外で知ってるのははるかだけだ」
「はるかとゆーくんだけの秘密の場所?」
 さっきまで泣く直前だったはるかの顔が急に笑顔になる。
「そう。だから誰にも教えるなよ?」
 はるかはコクコクと大げさに首を縦に振る。
「絶対に内緒だからな?」
「うん!」
「こら、大声出すなよ」
 俺は慌てて声を潜めてしーっ、と口の前で人差し指を立てる。
「えへへ、ゴメン」
 照れ隠しにはるかが笑う。
 細い眉とふっくらとした頬が作る曲線はとても柔らかな線を描いていた。

「懐かしいな・・」
 いつの間にかうつらうつらと居眠りをしていたらしい。
 瞼の裏にあのときの笑顔がぼうっと浮かんで、すうっと消えていった。
 今でもはっきりと覚えている。あのときの夕日の赤さも、木々のざわめきも、はるかの髪を揺らす暖かかった風も。
 あのあと結局見つかることはなく、見事二人して木津の鼻を明かしてやったのだった。
 何度かはるかが木津に場所を聞かれたらしいが、はるかはちゃんと約束を守って誰にも話すことはなかった。
 だから、多分今でもあの場所を知ってるのは俺たちだけだ。

 ピーッと、試合終了のブザーが鳴る。
 どうやらはるか達のチームが勝ったようだった。
 キャッキャッとコートの真ん中で歓声をあげて喜び合っている。
「・・・」
 ふと、はるかと視線が合う。
 にこっと笑った。
 やはりその笑顔はあの時のまま、変わっていなかった。

 帰りのHRも終わり、ダラダラと帰りの支度をしていると、不意に誰かが俺の席に近づいてきた。
 また加路か誰かだろうと思ってかまわず帰り支度を続けていると、その人物は俺の席の前で惑うかのように一瞬の間を置いた後、声を掛けた。
「ゆーくん、ちょっといいかな?」
 予想に反して声の主ははるかだった。
「な、なんだよ?」
 少し驚いて慌てて顔を上げると、はるかはいつになく真剣な表情をしていた。
「いいから、ちょっと来て」
 はるかはそのまますたすたと教室の出口のほうへと向かっていく。
 まっすぐな視線と声には有無を言わせぬ迫力があった。
 仕方なく俺ははるかの後に続く。
 廊下を進み、渡り廊下を渡って、階段を上がる。
 その間も会話はなく、ただひたすらに歩くだけだった。
 まさか昨日の憑依のことがバレたのか?
 それとも、そもそも俺が魔術を使えることに気づかれてしまった?
 歩いている間も頭の中で様々な憶測が飛び交う。
 もし本当にはるかが憑依や魔術のことを知ったなら、俺のことをどう思うのだろうか。
 きっと、俺ははるかに嫌われてしまう。
 突然降って沸いた想像に、心の芯を思いっきり揺さぶられたような気がした。
 
 着いた先は図書館だった。
 放課後は下校時刻まで生徒に解放されているが、まだ放課後間もない今は利用者も図書委員も来ていなかった。
「俺に何か言いたいんじゃないのか?」
 図書館の引き戸を閉めてから、閲覧用の長机の間に立ったままのはるかに声を掛ける。
 先手必勝、はるかの反応で様子を伺うことにしたのだ。
「・・・」
 数秒の沈黙。
 なんともいえない緊張感が当りに漂う。
 自然と鼓動が高鳴っていく。
「うん」
 はるかはやがてゆっくりと頷く。 
 少しうつむいて両手を胸の前で結び、上目づかいにこちらの様子を見ているようだった。
 それは俺の予想していた反応とは違った。
 少なくとも、何か詰問しようとしているわけではなさそうだ。
 傾いた夕日が空気を赤く染めている。
 今、教室には二人しかいない。
「私、ゆーくんに伝えたいことがあるの」
 やがてゆっくりとはるかが声を漏らす。
 いくら鈍い俺だって、この雰囲気がかなりロマンチックなのは分かる。
 女子がこんなにお膳立てして言うことなんて一つしかない。
「・・・あのね」
「待った」
 俺はたまらず、はるかがすべてを言い切る前に言葉を遮る。
「・・・お前の言いたいことはわかる」
 女に言わせるなんて、男じゃないだろ?
 俺は真っ直ぐにはるかを見つめる。
 黒く、それでいて透き通ったはるかの視線が俺の目とぴったりと重なる。
 はるかの不安そうな表情がみるみるうちに明るい笑顔へと変わっていく。
 やっぱり、俺は――
「じゃあ、引き受けてくれるんだ」
「へ?」
 引き受ける?何を?
 土壇場でまたも予想をひっくり返されて、俺の頭の中は一瞬で真っ白になる。
「幽霊退治」
 にっこり。
 あの柔らかな笑顔ではるかはそう言った。
「吹奏楽部の子に『なんか音楽室で変な音がするんです、怖くて練習できないんですぅ~』って泣きつかれちゃって。『分かった、何とかするから』とは言ったものの、いくら神社の娘だからって祝詞は知ってても除霊の仕方なんて知らないし。こんなことゆーくんぐらいにしか頼めないんだもの」
 緊張の糸が切れたのか、続けざまにはるかは今まで溜まった分を吐き出すかのように饒舌に喋りだす。
「普段から馬鹿にしてたから、こんなときだけ都合よく頼むのも申し訳ないかなぁって思っちゃって。ゆーくん、朝からあんまり話してくれなくて機嫌悪そうだったし、今も真剣な表情してるから変に緊張しちゃったじゃないのよ~」
 な、なんだよ俺はてっきり・・・
「やってくれるんでしょ?」
「お、おう。もちろんだとも」
 口ではそういいながらも、なんだか騙された気分だ。
 自分で『お前の言いたいことは分かる』なんて言った手前、いまさら断ることなんて出来るはずもない。
 だからって、なんでわざわざ図書館まで呼び出すんだよ。変に勘ぐっちゃうだろ。
 く、くそう。このままおとなしく引き受けたんじゃ、なんか納得がいかない。
 俺の中のイジワル心がゆっくりと湧き上がってくる。
「ただし、徐霊にはお前にも協力してもらうからな?」
 ここはちょっとでも自分を有利な立場に持っていきたい。
 適当な難題をふっかけて困らせてやろうじゃないか。
「ちょっと耳を貸せ」
 ごにょごにょと、はるかに耳打ちする。
 どうせ二人しかいないけど、大声で張り上げるのはやっぱりちょっと恥ずかしい。
「ええーっ!?」
 ほらな、いくらなんでもそれはないだろ?
「しょうがないな。そんなに嫌なら特別にそれは勘弁してやっても・・・」
「・・・分かった」
「え?」
 はるかの予想外の返事に俺はあっけに取られた。
「マジ?いいの?」
「吹奏楽部の頼みをクラス委員として断るわけにもいかないし、徐霊のためなら仕方ないもの、うん」
 なにを一人で覚悟を決めて、一人で納得しているんだ。
 もっと冷静になるんだ。断るだろ?普通。
「じゃあ、今日の夜7時に校門前だから、絶対来てね!」
 はるかは恥ずかしさを隠すように口早に告げ、さっさと戸口へと駆け出していく。
 まさか承諾するとは思っていなかった俺はその場に取り残される。
「おい、待て!」
 ようやく思考能力が回復し慌てて引きとめよとするが、もう既にはるかは図書室を出て行った後だった。
「今のは冗談・・・・」
 俺の悲しい呟きが、誰もいない教室に響いた。
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