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ラプラスの書§1-3

続きです。
回を増すごとにTS要素が減っていきますね。

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マクスウェルの箱
 
 【3】
「ユウー、はるかちゃん来たわよー」
 まるで深い霧のなかに光が射すように、ぼんやりとした意識にお袋の声が響いてくる。
 ああ、もう朝なのか。
 いつの間にか目覚まし時計はOFFになっていた。そういえばさっき寝ぼけてOFFにしたような気もする。
 はるかは毎朝家まで起こしに来る。朝が弱く、遅刻がちな俺を見かねて小学校の時の担任がはるかにお願いしたのだが、中学に上がった今でもそれは続いていた。
 本人曰く「これもクラス委員の仕事」だそうだ。
 流石に部屋に上がりこんでくるまではしなかったが、あまり待たせるとお袋がうるさい。
 昨日の儀式と幽体離脱のせいでグデグデに疲れた頭と体は覚醒するのを拒否していたが、それでも嫌がる体に鞭打って何とかベッドから這い出し、制服に着替える。
 昨日のヤモリの一件もあるので今日は来ないかもと思っていたが、それはどうやら考えすぎだったらしい。
 はるかは俺がギリギリまで寝てることもお見通しで、支度をする時間を考えて家にやってくる。
 待たせるのも悪いからと一度お袋が断ったことがあるが、「どうせ神社の手伝いで早起きしないといけないので、ついでですから」とはるかは引かなかった。
 ようやく支度を終えて玄関へと向かう。
「おはよ」
 玄関先に立つはるかは見るからに不機嫌そうだった。
 挨拶こそしたものの、ツンとあごをあげてそっぽを向いている。
「うっ、おはよう」
 やはりまだ昨日のことで怒っているのだろうか。
 この先、登校中ずっと気まずい雰囲気を味会うことになると思うと気が重い。
「なーんてね」
 俺の困った顔に満足したのか、はるかはぱっと笑顔になる。
「あんなのでいちいち怒ってたら、ゆーくんの幼馴染なんて務まらないわよ」
 そこまで無理して務めなくてもいいと思うんですが。つい憎まれ口をたたきたくなるが、そんな事言ったらまた怒るので胸の奥にそっとしまっておく。
 そのまま玄関を出て、学校への通学路をはるかと歩く。
「昨日、放課後ヒラメ先生に呼び出されたんだって?」
「ああ、2時間も説教喰らったよ」
「いい気味、自業自得よ」
「おかげで貴重な時間を無駄にしたぜ」
「掃除の時間にトカゲなんて探してるからいけないのよ」
「へいへい、悪うござんした。反省してますよ。あと、あれはトカゲじゃなくてヤモリ」
 いつもの他愛もない会話。
 何年も繰り返してきた、なんてことない日常。
 そのはずなのに、はるかのことが気になって仕方が無い。
 特にセーラー服を程よく押し上げる膨らみとか。
 昨日の夜見てしまったあの強力なイメージが瞬時にフラッシュバックする。
「あれ、ゆーくん、なんか顔が赤いよ?」
 そんな俺の異変に気づいたのか、はるかがこっちを覗き込んでくる。
「な、なんでもない!」
 俺は慌てて顔を背ける。
「もしかして風邪とか?まだ寒いから気をつけないとね」
 そんなにこっち見んなよ・・
「それとも、私を好きになっちゃったとか?」
 はるかが横目で俺を見ながらいたずらっぽく笑う。
「そ、それはないっ!」
 俺は大慌てでそれを否定する。
 顔はもう耳の先まで真っ赤だろう。
「だよね~」
 ははは、とはるかは冗談のように笑う。
 今思えば、はるかは何かにつけて『私はゆーくんが好き』的なことを言っていたような気がする。
 誰かに告白されたとか、下駄箱にラブレターが入っていたとか、なんでわざわざ俺に言うのかと思ってたけど、それだって俺に焚きつけようとしてたのかもしれない。
 まだまだお子様だった俺はそんなの冗談としてしか捉えていなかった。
 もしもそれが本気だったら、俺って相当酷いことをしてるんじゃないのか?
 なんだかそう思うとはるかの笑顔が辛い。
 押し黙ったままの通学路はいつもよりずっと長く感じられた。
 
 今日も一日の授業が始まる。
 勿論、俺は上の空だった。
 普段から授業など聞いてはいなかったが、今日は特に酷い。
 昨日の夜のこともあって興奮してロクに寝ることも出来なかった。
 そしてなにより、はるかの一挙手一投足が気になって仕方ない。
 一瞬で午前中の授業が終わり、給食を食べ、掃除をする。
 そして昼の休憩時間。
 俺は未だに悶々としていた。
 日記にあんなことが書いてあってもイマイチ確証が持てない。
 もしかしたら、わざと本心とは逆の内容を書いてるかもしれない。万が一日記を他人に読まれるようなことがあっても良い様に、ちゃんと解読するとまったく逆の意味になるような暗号で書かれている、とか。
「いくらなんでも、それはないよなぁ・・・」
 消化不良のそんな考えが未だにぐるぐると頭の中を回っている。
 鬱屈としたその考えを押しつぶすように机に突っ伏して、昼休みの教室を眺める。
 そんな俺の気なんて知る筈もなく、クラスの奴らはワイワイと雑談に花を咲かせている。
 担任の水谷先生(女、29歳、独身)も教卓で二人の女子と話をしているようだった。
 ――って、その一人がはるかじゃないか。
 一緒に笑うはるかの横顔をついつい眺めてしまう。
「よう、ユウ」
 その声とともに、目の前が学ランで真っ黒になる。
 そのまま視線を上に持っていくと、予想通りの人物の顔があった。
「なんだよ、いきなり話しかけるな」
 コイツは加路 雄良(かじ たけよし)。
 幼い頃から一緒によく遊んだいわゆる腐れ縁ってやつだ。
「どうした?」
「どうもしてないって」
「隠すな隠すな。俺にはなんだってお見通しだ。霞野だろ?」
 ニヒヒ、と笑いながら親指で教卓の方を指す。
 幼い頃は大人しいやつだったが、中学に入ってガラリと雰囲気が変わった。今では『思春期の性欲に浮かされる男子中学生』という表現がぴったりだ。
「違うって言ってるだろ・・」
 内心でギクッとしながらも必死に冷静な素振りを見せる。
「大丈夫だよ、俺は手ぇ出したりしないぜ。お前ら昔っから仲良かったもんな」
 俺の否定なんて全く耳を貸さず、ひとりでうんうんと分かったようなことを言っている。
「でも彼女人気だからなぁ、うかうかしてると誰かに持ってかれちまうぜ」
 確かにはるかはクラスでも男女を問わず人気が高い。
 もともと生真面目で責任感のあるはるかはクラス委員の仕事もきっちりとこなし、新学年をむかえてまだ数ヶ月も経たないうちに先生とクラスから厚い信頼を寄せられていた。
 そのため、はるかが周囲から気になる存在になっていたとしてもなんら不思議なことではなかった。
 今日一日改めてはるかの日常を観察していても、用も無いのにやたらクラスの男子が声をかけているのが目に付いた。クラスのイケメン香村まで「委員長~、次の授業って何だっけ?」とさりげなく声を掛けていた。奴の席の前にはクラス掲示板があり、デカデカと時間割表が張ってあるので次の授業が分からない筈が無い。ただ単にはるかとコミュニケーションがとりたいだけなのは明白だ。
 そう考えるとライバルは多い。クラス内での立場が『その他大勢の一人』である俺がイケメン香村とまともに張り合っても勝てる見込みが無い。
「しかし、水谷先生って美人だよなぁ」
 再び思考のスパイラルに陥ろうとする俺を他所に加路はさっさと話題を変える。
 なんだよ、自分で話を振って置いて。
 今度ははるかの隣にいる水谷先生に興味の対象が移ったようだ。
「うお、パンツ見えそうだぜ!」
 ヒュ~、と口笛を吹く。
 せめて下着と言ってくれ。一緒にいる俺が恥ずかしい。
 先生は雑談に夢中になっているのか、周りを気にすることなく足を組み替える。その度にクラス中の男子もピクっと反応する。所詮は男子中学生、体が勝手に動いてしまうのだ。
 教卓の下で組まれた足はクラスメイトの女子には無い大人の色っぽさが漂っている。
 はるかも大人になればあんなふうになってしまうんだろうか・・
「なあ、先生ってどんなパンツはいてるんだろうな?やっぱ黒かなぁ」
 加路はまさに興味津々と言った感じで、興奮した視線を先生に向けている。
 そりゃ俺だって気にならないわけがないが、俺はクールに硬派で行きたいんだよ。
「知るかよ、先生に直接聞いてみたらいいんじゃないか?」
 いい加減、加路の相手をするのも面倒になって適当に返事をする。
「それが出来たら苦労しないって。誰か女子にでも聞いてもらうか」
 加路はキョロキョロと誰か聞いてもらえそうな女子を探しているようだった。
 何をバカなことを・・・
 ん、待てよ?
 そのとき俺の頭の中がある一つの考えをはじき出した。
 何のための魔術だ。こういう時こそ使わなきゃ損じゃないか。
 自分で直接聞くことが出来なくても、親しい友人とかなら話しても変に思われない。
 まだ昼休みが終わるまで少し時間がある。
「・・・悪い」
 俺はなんだか居ても立ってもいらなくなり、すぐに行動に移ることにした。
「ユウ、どうした?」
「気分が悪い。すこぶる悪い。だから保健室に行く」
 加路にそういって、すたすたと早足で教室から出て行く。
 目指すは保健室。
 うちの学校の場合、保健室はほぼ開放されていて、保健の先生も必要以外に保健室にいることは無い。
 そんなことしようものならサボリ放題、昼寝し放題になりそうなものだが、なにせ田舎の学校なので、本当に気分が悪くなった時以外に使用する生徒はまずいない。
「よし、ここなら」
 一応誰もいないことを確認して、ベッドに入り込む。
 おもむろにポケットからビンを出す。
 昨日作った『死者のオイル』を小分けしてきたものだ。
「気高き魂よ。
 (中略)
 鍵によって開く。魂の扉!」
 太陽が支配する昼間は生者の時間だ。抜け出すのに少し抵抗を感じたし、霊体の濃度も昨日の夜より薄い気がする。
 どうせ昼休みしか時間がないので問題はないだろう。
(さてと、教室は・・・)
 そのまま壁をすり抜けて最短ルートで教室へと向かう。
 教室や廊下の雑踏も上を通過してしまえばなんてことはない。
 幸いまだはるかたちは先生と雑談をしているようだった。
「そういえば吹奏楽部の子が幽霊見たって話ですよ?」
「えー、本当?」
 いかにも噂好きそうな、もう一人のほうの女子は木津(きづ)かのん。
 こいつもはるかや加路と同じ幼馴染の一人で、噂好きが高じて新聞部に所属している。
 受験勉強に忙しい3年生にかこつけて、今では実質的に新聞部の実権を握っている。
 一年の頃は上級生が歯止めを掛けていたが、奴が実権を握ってからというもの、新聞部の発行する『ウキ中スポーツ』はゴシップ化の一途をたどっている。
 とにかくこの学校に関しての情報はかなりのものを持っているに違いない。
 こいつをうまくおだてれば何かいい情報が得られるかも知れない。
 はるかとも仲が良いので、なにかと話は聞いているはずだ。 
「先生は幽霊とか信じないんですか?」
「そんなのいたら、もう結婚できてるわよ」
 へっ、とニヒルに笑ってみせる。
 四月生まれで最近29歳になったばかりの水谷先生は結構な美人で、男子生徒からの人気も高い。ただ、男運には恵まれていないようで、浮いた話が全く無いらしい。
 それもどうやら最近ははっちゃけたようで、着飾らない性格に一層磨きがかかっていた。
「そうですよね~幽霊見つけるよりも、先生の結婚相手見つけるほうが難しそうですもんね」
「いや、同意しないでよ」
「やだぁ、冗談ですよ」
「きっといい人見つかりますよ」
 生徒に慰められるってどんな先生だよ・・
 まあそれだけクラスに馴染んでいるということか。
 おっと、今はそんなことどうでも良い。ついつい世間話に耳を傾けてしまった。
 早く先生に憑依して真相を確かめなければ。
「あれ?今、ぼんやりした光みたいなのが通ったような気が・・・」
 どうせ見えやしないとタカをくくって目の前を通ったが、どうやらはるかには見えてしまったようだ。さすがは神社の娘というところか。
「ふふーん、そんな事言ったって驚かないんだから」
 木津ははるかが自分たちを脅かそうとして言ったと思ったのだろう。
「ホントだってばぁ・・」
 必死で弁明するはるかを尻目に、俺は先生の背後に回って背中から意識の中に侵入を試みる。
 やはり意識があるうちは他の魂の侵入を阻むらしい。すんなりとは行かず、抵抗を感じる。
「よっ・・」
 より強く前に進むように、先生の中に入ることを強くイメージする。
 幸い先生はそこまで高い霊力を持っているわけではないらしく、何とか入り込むことが出来た。
 意識が接続される間、少しふらっとなる。
 目を開けると目の前にはるかと木津の姿があった。
「先生、大丈夫です?」
「・・ん、大丈夫よ。昨日飲みすぎちゃったのかな」
 様子がおかしいことに気づいたはるかが声をかけてきて、内心ドキッとしたが適当に誤魔化しておく。
「は・・・霞野さんは好きな人とかいないの?」
「はるかったら昔っからウチのクラスの田中くんにゾッコンなんですよ~」
 隣にいる木津がにんまりと笑いながら言う。昔っから噂話とか大好きだったもんな。
「ばっ、そんなわけ無いでしょ?あんなネクラでオタクな奴、パス!パス!」
 木津の暴露を予想だにしていなかったのだろう、はるかは慌てて手をブンブンと振りながら否定する。
 ネクラで悪かったな。
「身長だって私のほうが高いくらいなんだもん」
 うるせー、これから伸びるんだよ。
 しかし、はるかはあからさまに動揺している。
「本当なの?」
 俺は平静を装い、水谷先生を真似てさらに聞き込む。
「もちろんですよっ、昨日だって掃除サボってトカゲ探してたんですよ!」
「あれはヤモリだって」
「え?」
 ついついボソッと言ってしまったのをはるかに聞かれてしまったらしい。地獄耳め。
「いや、なんでもない・・わ。続けて」
 一瞬不思議そうな表情を浮かべるが、なんとか誤魔化せたようだ。
「とにかく、ちょっと前から変なことに凝っちゃって、最近全然相手してくれないんですよ!」
 本人は気づいていないのだろうか、完全に墓穴を掘っていることに。
「ほらね、先生。最近彼が冷たいんだそうですよ。彼の気を引く何かいいアドバイスとかないですか?」
 木津に言われてようやく気づいたらしい。 
「本当に違うんですってば!」
 真っ赤になりながらも慌てて否定する。
 そのまま木津詰め寄って耳打ちする。
「もー、なんて事いうのよ~」
「いいじゃないのよ、先生なら。色々経験豊富そうじゃない?」
「結婚できなくなったらどうするのよ」
 あのー、聴こえてるんですけど。
 先生も可哀相に。俺が憑依してて良かったかもな。こんなの聞いてたらいくら先生でも怒るだろ。
 しかし、困ったな。まさか結婚まで視野に入れているとは。
「はるかちゃーん」
 そのとき、教室の戸口からはるかを呼ぶ声がした。
「あ、吹奏楽部の吹子ちゃんだ」
「じゃあ、先生。失礼します」
 そのままそそくさとはるかと木津は教室の戸口の方へと向かっていった。
 ぽつんと取り残された教卓は先ほどまでの騒がしさとは打って変わって、そこだけ切り取られたように教室の喧騒が遠くに感じられる。
 このまま教室にいて誰かに話しかけられてボロが出たら厄介だ。とりあえず教室を離れてどこかで元の体に戻ろう。
 俺はさりげなく教室を抜け出し、廊下を進む。
「しっかし、大きな胸だなぁ」
 ブラで支えられているとはいえ、歩くたびに胸が揺れるのが良く分かる。
 そういえば、昨日の夜はるかに憑依したときはブラなんてつけていなかったな。寝るときはしないものなのだろうか。
 パンプスがコツコツと廊下を鳴らす音が廊下に響く。
 タイトスカートは歩く度に抵抗があるものの、やはりスースーする。
 そのまま職員用トイレへ。
 頭では分かっていても女子トイレに入るのは緊張する。
 キョロキョロと一応あたりに誰もいないことを確認してから中へ入る。
 男子トイレとは全然違う。小便器がなく個室がずらっと並んでいる。
 急いで個室の一つに入る。
 不意に加路が言っていたことが気になった。
「ちょっとだけなら・・・」
 ぴら、とスーツのスカートをめくり、中を覗き込む。
 お、白じゃん。先生って意外に純情なのかも。
 キーンコーン、と興奮する頭にツッコミを入れるようにチャイムの音が響く。
 まずい、予鈴だ。
 俺は慌てて先生の中から抜け出すと、保健室の俺の体へと戻っていった。
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