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ラプラスの書§1-2

前回にも増して長いです。
一応TSシーンはありますがちょっとだけ。

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「マクスウェルの箱」

【2】
 俺は帰宅後とりあえず食事と風呂を済ませ、あとはひたすら夜が更けるのを待った。
 今回の儀式は夜中に行う必要があるのだ。
 春先のまだ寒いこの時期にヤモリを探すのは少々苦労した。
 放課後の貴重な時間と一時的な聴力の低下を代償にしつつも、今日ようやく手に入れることが出来た。
 ヤモリは漢字で『守宮』と書く。
 昔から人家に住み着き、害虫となる虫を食べてくれることから、その名がついたらしい。
 さらに昼行性のトカゲに対して夜行性のヤモリは夜の使者であるとも考えられていた。
 それに、昔からヤモリの干物といえば魔術の定番だ。 
 中央に〈夜〉と〈精霊〉の紋章が書かれた紙が置かれ、その奥に香炉、左右に一本づつロウソクが灯されている。
 これが簡易的だが儀式用の祭壇になる。
 祭壇の中央に油の入った瓶が置かれている。
 油も昔から魔術の触媒としてよく使われている。
 かといって、この油自体は特別なものではなく、なんの変哲も無いただのオリーブオイルだ。近所のスーパーにも売っている。
 まあ、あえて特別なところとがあるといえば、純度100%のピュアオイルということぐらいか。
 そしてそのオイルには去年の秋に採っておいた彼岸花の花弁が沈めてある。
 彼岸花。
 その名の通り、秋のお彼岸の頃に川原の土手などを赤く彩る日本でも良く見かける花だ。
 しかし、又の名を地獄花、あるいは死人花とも言う。
 その由来は毒を含む根を誤って食べた人が死んだからだとか、その毒で土葬した死体が動物に荒らされるのを防ぐ為に墓に良く植えられていたから、など諸説ある。
 その一方、仏教では曼珠沙華(マンジュシャゲ)と呼ばれ、それは『天上の花』という意味である。『良い事の兆しに天から赤い花が降ってくる』という法華経の経典が由来とされるらしい。
 ともかく、彼岸花は古来より日本ではより死や死後の世界に関連のある花とされているのだ。それだけ花の持つ『死』という意味は大きい。
「これで準備は出来たな・・」
 傍らに持った本とその訳を書いたメモを見て手順を確認する。

 すべてはこの本を手に入れたことにより始まった。

 去年の夏、祖父が亡くなった。
 祖父はイギリス人でちょっと離れたところに祖母と二人で暮らしていた。
 ちなみに、祖母は日本人。父も日本人。母はハーフ。
 だから俺はクォーターということになるらしい。
 だがパッと見では日本人となんら変わらない。
 普通の日本人と比べてちょっと鼻が高いぐらいだろうか。
 むしろ田中・ユークリッド・勇というヘンテコな名前を馬鹿にされたぐらいで、良いことなんて全く無い。背も小さいし。
 祖父の生家は山間の落ち着いた場所にあり、まるで何かから身を隠すようにひっそりと暮らしていた。
 詳しくは知らないが魔術の研究なんかをしてたという噂があった。
 確かに幼い頃にはそんなような話を祖父から良く聞かされ、いつも祖父の家に行くのが楽しみだった。だが、それも小学校に上がって人間としての常識を得るにつれていつしか興味を失い、あまり家にも遊びに行かなくなっていた。
葬儀も終わり家に帰ろうかとなったとき、祖母が好きな本を持って行って良いというので、俺は本を一冊貰うことにした。
 祖父の書斎には沢山の蔵書があり、びっしりと本が詰められた書架が幾つも並んでいた。
 日本語や英語は勿論、全く目にしたことの無い文字で書かれたものも少なくなかった。
 俺は山のようにある書架の中からただ一つ、その本を手にした。
 今でもなぜこの本にしたのかはよく分からない。
 なにしろ本文が英語で書かれていたのだ。
 英語なんて中学に入って授業で始まったばかりで、何が書いてあるかも分からなかったのにただなんとなく、まるで導かれるようにその本を手にしていたのだった。
 実家に帰ってから辞書を引いてようやく表紙になんて書いてあるかが分かった。
 ――〈ラプラスの書〉。
 革のカバーに頑丈な止め具が着いたその本にはそう記してあった。
 ボロボロになった表紙はいかにも時代を感じさせ、その古さは十年や二十年程度のものではないように感じられた。
 ちょうど夏休みに入ったこともあり、中学に入学したときに買ってもらった英和辞典を片手に、まるで取り憑かれたようにその本の内容を解読していった。
 中学生が解読するにはハードルが高く解読は困難を極めたが、やがて少しずつではあるがその本に何が記されているかが分かったときはかつてない興奮を覚えた。
 簡単な呪術から果ては悪魔の召還まで。
 そう、この本は魔術書だったのだ。
 最初は俺もこの科学の発達した現代において魔術や魔法なんて存在しないと思っていたが、思春期の少年の溢れ出す好奇心を止められるはずが無く、解読しては儀式を繰り返す毎日だった。
 最初は失敗ばかりだったが、人を眠らせたりだとか、簡単な鍵の開錠なんがか成功すると魔術の存在は疑いようの無いものになった。
 ただ、魔術というものはその効果を得るために多大な準備を必要とするし、使用するにあたっての制約も多い。
 同じ火を起こすにしても魔術を使うよりマッチを摺った方がはるかに簡単だ。
 しかし、効果云々よりも実際に魔術が存在し、自分が魔術を使っているということが何より嬉しく、楽しかった。
 それに儀式を繰り返すうちに自分にも幾分か魔力的なものもあるらしいことに気づいた。
 そういえば昔、両親が祖父が魔術師とかそういう家系にあったようなことを言っていたような気がする。随分と薄れてはいるが自分にもその力が宿っているようだった。
 かといって、それほど高い能力を持つほどではないらしく、高度な魔術は出来ないが霊なんかを感じることは出来るみたいだ。

「そろそろだな・・・」
 時計の針が12時を示したのを見て俺は部屋の隅にある机に向き直る。
 香の焚かれた薄暗い部屋にロウソクの炎が揺れる。
 闇の密度が濃い。
「我はユークリッド。
 知識の探究者なり。
 ここに一つの知を行使する」
 集中力を高め、闇に語り掛けるように、言葉を紡ぐ。
 タッパーから昼間に捕獲したヤモリを取り出し、祭壇の前に掲げる。
 本来夜行性のヤモリもまだ気温が低いため動きは鈍く、もそもそと動かす足も鈍い。
「闇を総べし力よ。夜を統べし力よ。
 生を統べし力よ。死を統べし力よ」
 やがて手のぬくもりで温められたヤモリは活発に動き出そうとするが、それを逃がすことなく、ゆっくりと手に力を込めていく。
 身の危険を感じたヤモリは逃げ出さんと精一杯もがく。
 だが、いくらヤモリが足掻こうと人間の手から逃れることは出来ない。
 それでもどうにか助かろうと、ついにヤモリは自ら尻尾を切る。
 体から離れた尻尾はそのまま下に置かれていた油のビンの中に落ち、くねくねと動きながら沈んでいく。
 それが本体から離れてなお生きる霊体を表すのだ。
「今、一つになりて、ここに集まらん」
 カッターを指先に当てる。
 痛みと供に指先から赤い血が浮き出る。
 その指を容器の上にかざす。
 瞳を閉じ、意識を集中し、祈る。
「全知全能たるラプラスの魔よ、我が前に真理を示せ!」
 溢れた血がポツンと落ちる。
 心なしか油の色が変わったような気がした。

「ふう」
 一通りの手順をすませ、一息を吐く。
 これで儀式は終了だ。
 あとは、儀式が成功したかどうかだ。
 今回生成したオイルは『死者のオイル』というものだ。
 これには死者と生者の境界を薄くする効果がある。このオイルを使用して肉体に一時的な死をもたらし、魂だけを分離させるのだ。
 簡単に言えば幽体離脱の魔術だ。
 無論、失敗すれば魂が抜け出たまま元の体に戻れなかったり、魂が抜け出るまえに肉体が仮死状態になってしまうなどタダでは済まないだろう。
 しかし、失敗する恐怖心よりも世界の新しい部分を知ることへの好奇心が勝っていた。
 作りたてのオイルの入ったビンを両手で持ち、軽く掲げて意識を集中する。
 おもむろにビンを置き、人差し指の先をビンに差し入れてオイルを掬い取る。
 あらかじめ呪文を訳してあるメモを傍らに、言霊を紡いでいく。
「気高き魂よ
 肉体に繋がれし鎖を解き
 闇に溶け、自由を得ん」
 一言一言に祈りを込め、意識と魂のありかである額と胸にオイルで紋様を書く。
「鍵によって開く。魂の扉!」
 そのままぐったりと椅子にもたれて全身の力を抜く。
 オイルを塗った部分がじんわりと熱を帯びてきている。
 強烈な眠気のようなものが襲い、ふわっとした浮遊感のあとで一瞬意識を失う。
 再び意識がはっきりしたとき、俺は宙に浮いていた。
(・・・成功、したのか?)
 視覚というより感覚そのものといったほうが良いのだろうか、眼下に自分の姿を感じる。
 霊体には『目』自体ないためだろう、物質の持つ生命力や霊力などそういったものが色や光として感じられ、それが視覚の代わりをしているみたいだ。
 鉄やプラスチックといった無機物の反応は弱く、自分の体などは強く感じる。
 同様に手足はもちろん体も無いため、どうやって前に進むのか、どう自分の位置を変えるのかが分からなかったが、 コツさえ掴んでしまえば自由自在に動くことができるまであまり時間はかからなかった。
 霊体の重量というものは本当に無いに等しい、それこそ重力が作用しないほどに軽いらしい。そのため、唯一残された『想う』、『願う』といった意識的な力だけで移動することが出来るようだ。
 更に物理的な干渉も受けることが無い。よく漫画やアニメにあるような壁をすり抜ける等の芸当も普通に出来てしまった。
 そうっと自分自身に近づき、口元の様子を探る。
 規則的に呼吸している。どうやら深い眠りにあるようで、幽体だけ抜けても最低限の生命活動は維持されるようだ。
 これならばしばらく放っておいても、体だけ先に朽ちてしまうことも無いだろう。
(よし、それじゃあ早速)
 はやる気持ちを抑えきれず、俺は部屋から飛び出していった。
 
 目指すは隣、霞野神社。はるかの家だ。
 今日の一件で生徒指導の体育教師、平目に眼を付けられてしまった。
 おかげでしばらくは学校内での行動がやりにくくなってしまうのは明白だ。
 とにかくこれ以上不安要素が増える前に一つは潰しておかないと。
 思いっきりプライバシーを侵害してやる。
 あわよくば何か弱みを握ってしまえば、アイツに対抗する絶好の交渉材料となる。
 歩いていっても5分とかからないので、自分の部屋から直接最短ルートで飛んでいけば更に早い。
 「霞野神社」の古い文字が掲げられた大きな鳥居をくぐる。
(うっ・・・)
 とたんに、なにか圧迫されるような気配に襲われる。
 やはり由緒正しき神聖な場所なのだろう。場所自体が邪な霊などを寄せ付けないようになっているのだ。
 ここにいるだけで霊力を消耗してしまうのが分かる。
 今の状態は霊力だけで成り立っている。つまり、霊力が消耗してしまえばやがて霊体の構築が出来なくなり、それは存在の消滅を意味するのだ。
 それでもなんとか耐えられないほどではない。まだしばらくは大丈夫そうだが、長時間いると危険だろう。
 無論、だからといってここで引き返す俺ではない。
 霊力の消耗のことを肝に銘じて更に神社の奥へと進む。
 社務所の隣にある純和風の建物がはるかの生活する家だ。
 子供の頃はよく遊びにいったので家の間取りは良く覚えている。
 そのまますいすいと壁をすり抜け、一目散にはるかの部屋へと向かう。
(ここだ・・)
 意を決し、ふすまに飛び込んでいく。
 しばらく見ないうちに部屋の中はすっかりと変わっていた。
 沢山あったぬいぐるみの数も半分ぐらいに減り、明るいパステルカラーが多かった内装も幾分か落ち着いた色になっている。
 その部屋の一角、猫の模様がプリントされた布団の中ではるかは寝ていた。
 ゆっくりとはるかの上に降り立つ。
 小さく整った鼻からすー、すー、と規則的な寝息が聞こえる。
「・・・。」
 ゴクリ、体があったなら確実に生唾を飲んでいただろう。
 そのままはるかの中に入るイメージで意識を潜り込ませていく。
 すうっと自分の体が溶けて染み込んでいくような感覚。
 そして次第に体の感覚がよみがえってくる。
 眼を開けると、見知らぬ天井が見えた。
 洋間の自分の部屋と違い、天井は木目の美しい板が並んでいる。
 むくり、と体を起こす。
 自分自身が幽体離脱になれていないのか、はるかの体が疲れているのか、頭はまだ少しぼんやりとしている。
 辺りを見回す。
 所々に昔の部屋の面影がある。あの人形はまだあったんだ。
 自分の手を見る。
 俺のものとは違う、まだ幼さが残るほっそりとした指先。
 冷たい外気がひんやりと体にしみこんでくる。
「やった・・・!」
 手をぐっと握り、思わず発した声は高い。
 いつものはるかの声とは違うが、それは直接自分の耳にも響いているからだ。
 成功!
 言い様のない快感が頭の中を駆け巡る。
 思わずガッツポーズ。
 気を取り直し、立ち上がって電気をつける。
 机の上にあった鏡を手に取って覗き込む。
 そこにはまるで自分の顔を映すように、はるかの顔がある。
 思わず驚いてしまった顔のまま、鏡の向こうのはるかがこっちを見ている。
 普段は当たり前すぎてじっくりと顔を見ることなんてないが、こうしてまじまじと見ると、はるかも結構整った顔をしていることに気づかされる。
 その黒く澄んだ瞳も、長く艶やかに流れる髪も、今は自分自身なのだ。
 思わず百面相してしまう。
 いつもの口うるさく注意するときの不機嫌な顔や、ちょっと拗ねたようにこっちを見つめる表情、最近はあまり見せることのない屈託のない笑顔まで。
 そのすべてが自分の思うままだ。
 なんという征服感だろう。
 ――今ならば、はるかのすべてを知ることが出来る。
 その事実は衝撃的だった。
 不意に胸元が鏡に映る。
 手鏡に映った顔の下の、細い鎖骨の更に下。
 パジャマの薄い生地を何かが押し上げている。
 ドキッ、と一段と高く心臓が跳ねる。
 恐る恐る、パジャマの襟を持ち上げ、
 下を覗く。
「・・・っ!」
 胸が膨らんでる!
 急に気恥ずかしくなって、急いで襟を閉じてぎゅっと眼を瞑る。
 心臓の鼓動は激しく高鳴り、頭の中には丸く膨らんだ胸と、その先のちょんとしたモノの画像がぐるぐると回っている。
「はぁ、はぁ」
 頭の中は真っ赤で、息もどんどん上がってくる。
「だ、ダメだ・・」
 自分の奥底から湧き上がる感情に飲み込まれるような気がして、それ以上は無理だった。
 見てはいけないものを見てしまったような罪悪感。
 だが、その一方でもっと知りたい、触れてしまいたい、という欲望がせめぎあっている。
「はぁ・・・」
 やがてなんとか落ち着きを取り戻すと、机の上のノートに気がついた。
 隙あらば再び湧き上がってきそうなあの感情を誤魔化すように、何となくそのノートを取った。
 表紙には何も書いていない、何の変哲も無い大学ノート。
 はるかの成績が良いのは知っていたので、どんな風にノートをつけているのか想像してみる。
 きっと、几帳面にきっちりと、解りやすくつけてるんだろうな、『ここが重要!』とか書いてあったりして・・・
 パラパラとノートをめくっていく。
 一ページ一ページ、びっしりと文字で埋め尽くされている。
 キレイな文字が沢山書いてあるのは想像通りだが、これでは少々分かりにくいんじゃないか?
 ふと気になって、一ページを読んでみる。
『4月20日(月)晴れ。
 もうすぐ2年生になって1ヶ月。クラス委員の仕事が結構大変。
 先生にお願いされたけど、やっぱり私には向いてないのかも』
 なんだ、日記じゃん。
 そう分かると、別の興味が湧いてきてそのまま読み進めていく。
『4月21日(火)曇り。
 今日は久しぶりにゆーくんと一緒に帰る。
 なんだか中学校に入ってからゆーくんが冷たい。
 また昔みたいに一緒に遊びたいのに。
 もしかして、私のこと嫌いになっちゃったのかな・・
 私はこんなにもゆーくんのこと好きなのに』
「・・・。」
 俺は一瞬、固まる。
『こんなにもゆーくんのこと好きなのに』
 綺麗に楷書で書かれたその文字は何度見てもそう書いてある。
 ま、まさか・・・何かの間違いだ!
 きっと他の日には
『今日もゆーくんのせいで掃除が上手くいかなかった。
 チョームカつく!3時間みっちり説教してストレス発散!』
 とか書いてあるはずだ。そうに違いない。
 俺はその仮説を証明するために更に日記を読み進める。
『4月23日(木)晴れのち雨。
 今日は天気予報が大ハズレ。午前中は良いお天気だったのに、午後から土砂降り。
 傘なんて持っていかなかったから、どうしようと思っていたら
 なんと、ゆーくんが傘を2本持っていて貸してくれたのだ!
 なんだかんだいって、本当は優しいんだから。
 でも一本の傘で一緒に帰りたかったなぁ』
 あれは置き傘が10本ほどあるからなんですが・・・
 パタン、とノートを閉じてとりあえず机に戻す。
「・・・。」
 幾分か落ち着いて、心の平静が保たれるのを待つ。
 そして、この日記から導き出される事実を検証する。
 
 ――検証結果。
 はるかが俺のことをす・・
「いやいや、それはないだろ」
 ブンブン、と頭をふって検証結果を否定する。
 はるかの長い髪が後れ毛となって宙に舞う。
 ・・・でも。
 もしも仮にそうだったとしたら?
 俺の気持ちは?
 俺ははるかのことをどう想っているんだろう。
 勿論、はるかのことは嫌いじゃない。
 ――じゃあ、好きなのか?
 いやいや、ありえない。
 俺はあんな説教女まっぴらゴメンだね!
 なにかといちいち突っかかってくるし、そのわりには結構ドジな一面もあって何かと手掛かる。そのたびに世話をしてやるのはいつも俺だ。
 まあ、それが嫌ってわけではないけれど。
 そうやって昔を思えば思うほど、はるかと一緒に居た時間が長いことに気づく。
 でも、それは幼馴染だから仕方ないだろ?
 そうそう、あいつと俺は幼馴染。それ以上でもそれ以下でもない。
 『好き』とか『嫌い』とかそういう次元の問題じゃないと思うんだ。
 うん、そうだ。
 そうに決まっている。
 もう一度まじまじと机の上のノートを見る。
 表紙に日記と書いてあったら読まなかったのにな。
 そうすればこんなこと意識しないで済んだのに。
 しかもアイツが知らないうちにアイツの気持ちをこっそり知ってしまった。
「・・・」
 ふと息苦しさが気になって時計に眼をやる。
 幽体離脱をして結構な時間が経っていた。
 霊力を消耗しているのかもしれない。
 俺は電気を消して布団に戻る。
 入る時とは逆の要領で力を抜き、体から抜け出るイメージをする。
 すうっ、とはるかの体から抜け出る。
 はるかは何事もなかったかのように寝息を立てている。
 明日、目を覚ましても今のことは覚えていないだろう。
 俺は息苦しさを振り切るようにはるかの部屋から飛び出ていった。

 鳥居を過ぎてもしばらく胸の圧迫感が消えなかったのは何故だろうか。
 
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